宮崎駿作品の「“の”の法則」というものがあります。
それは、宮崎監督作品のタイトルには、「の」の字が入っていることが多く、これがヒットの秘訣であるというものです。
近年では、この説は鈴木敏夫プロデューサーが提唱したと言われることもありますが、それは違っていて、この説は『もののけ姫』制作当時、日本テレビの映画プロデューサーを担当していた、奥田誠治さんが提唱したものです。
宮崎駿監督の長編作品
『ルパン三世 カリオストロの城』
『風の谷のナウシカ』
『天空の城ラピュタ』
『となりのトトロ』
『魔女の宅急便』
『紅の豚』
『もののけ姫』
『千と千尋の神隠し』
『ハウルの動く城』
『崖の上のポニョ』
『風立ちぬ』
奥田誠治さんが提唱した「“の”の法則」
この説が、世間で有名になったのは、『もののけ姫』が公開されるときです。
宮崎駿監督は、『もののけ姫』の制作時に、タイトルを『アシタカ聶器(せっき)』に変更しようと考えていました。
しかし、鈴木プロデューサーは、『もののけ姫』のほうがタイトルとして優れていたことを確信していたため、強引に『もののけ姫』で押し通します。
宮崎監督には無断で特報を打って、ジブリの次作が『もののけ姫』であることを世間に周知させました。
そうすると、もうタイトルの変更はできません。その折に、奥田さんが話したのが、この「“の”の法則」でした。
これまでの宮崎作品には、すべて「の」の字が入っていて、『もののけ姫』には二つも「の」が入っているから、コチラのほうが良いというものです。
「“の”の法則」でタイトルは決まっていない
最近では、「の」の字を入れたほうがヒットするという理由で、鈴木プロデューサーがタイトルを変更したと伝えられることもありますが、それは正しくありません。
鈴木プロデューサーは、おそらく「“の”の法則」を意識したわけではなくて、タイトルとして優れているものを選んでいると思われます。
そのため、『風立ちぬ』には「の」の字が入っていませんし、一切タイトル変更の話などは持ち上がりませんでした。
「“ほ”の法則」
ちなみに、高畑勲監督作品については、『ホーホケキョ となりの山田くん』の公開時に、「ほ」の字が入っているという、「“ほ”の法則」が提唱されました。
その時点では、高畑監督の制作したジブリ作品には、すべて「ほ」の字が入っていました。
高畑勲監督の長編作品
『火垂るの墓』
『おもひでぽろぽろ』
『平成狸合戦ぽんぽこ』
『ホーホケキョ となりの山田くん』
『かぐや姫の物語』
当時、宮崎監督の「“の”の法則」と一緒に話題になりましたが、『かぐや姫の物語』で初めて「ほ」の字がないタイトルとなりました。
高畑・宮崎両監督作品とも、2013年公開の作品で、法則が崩れています。