なつぞら『なつぞら』第8週では「なつよ、東京には気をつけろ」と題し、なつの上京生活がいよいよ始まります。
この副題では、なつに危険が迫って来るような印象を与えますけども、特に危険は迫ってこずに「なつよ、東京の兄には気をつけろ」的な内容ではないかと思いました(笑)。
それでは、43話~48話までの感想をお送りします。



第43話「天陽くんの告白」

第43話では、夕見子も無事に北海道大学に合格したことがわかり、雪月でなつと雪次郎との送別会と夕見子の合格祝が行なわれます。
夕見子や雪次郎が抱負を語るシーンは、とてもドラマ的な芝居だったんですけど、なつが家族への感謝を述べるシーンは妙にリアリティがありました。
そこに、牛の面倒をみる泰樹おんじが、なつとの別れに涙するシーンが差し込まれ、視聴者を泣かせにかかります。女性の皆さんは、化粧をし直してから出勤・通学したことでしょう。

そして、この回で天陽くんがついに、なつに告白をしました。しかし、それは見返りを求めるものでもなく、自分の気持ちはこうである、好きなものは好きである、という意思表示するものなので、爽やかな送り出しの言葉となりました。天陽くんは、自分の生き方が定まっている芸術家ですね。でも、芸術家に有り勝ちなずるさも感じたかな。

第44話「宮城まり子」

第44話で舞台はついに東京に移りました。雪次郎となつは新宿の川村屋で見習いとしてお世話になります。ここでは、川村屋の成り立ちが雪之助から語られ、川村屋のモデルとされる「新宿 中村屋」の創業者ゆかりの人々として知られるインド独立運動家、ラス・ビハリ・ボースのエピソードが引用されました。

なつは、自分が描いたスケッチをマダムに見てもらい、アニメーターとしてやっていけそうか意見を求めます。そのとき、マダムは「不安を誰かの言葉で解消するのは良くないわ。その不安と戦わないと」と答えます。『なつぞら』は週に1回は必ず名言が登場しますね。。

この回の後半で、なつたちはクラブ「メランコリー」に煙カスミの歌を聴きにいきます。そこで歌っていたのは、「ガード下の靴みがき」でした。この曲は、宮城まり子さんが歌っていた流行歌で、宮城まり子さんといえば『白蛇伝』の声優も務めています。この『なつぞら』でも、『白蛇姫』が登場しますし、そういった繋がりを意識して選曲されたようです。

第45話「クラリス」

第45話で煙カスミのコンサートを観に行ったなつたちは、カスミに誘われ飲みに行きます。そこは、咲太郎のことをお世話している岸川亜矢美が営む「風車」という赤ちょうちんが目印のおでん屋さん。カスミから、なつが咲太郎を探していることを告げられると、なんだか閥の悪そうな表情をする亜矢美さん。
雪之助さんが、すっかり酔っぱらってしまったので早々においとまするなつ一同。そこに、カスミの付き人をしている土間レミ子が「咲ちゃんに、私にも返すように言ってよ」となつに訴えます。「兄は貴女にも借金があるんですか?」となつ。「私の心よ」と顎を上げるレミ子。おまえは、クラリスか!
と、きっと、誰もが突っ込んだことでしょう。

第46話「咲太郎の怒鳴り込み」

第46話で兄の咲太郎は、なつが北海道で辛い思いをして逃げるように東京にやって来たと勘違いして、なつが泊まっている川村屋に怒鳴り込んできました。マダムはわりと冷静に、大人の対応でさばきます。それに引き換え咲太郎は、ほとんどチンピラのごとく(笑)。
ふたりで岸川亜矢美が営むおでん屋「風車」へ行ったものの、咲太郎の不甲斐なさとボタンの掛け違いも重なって、怒って帰ろうとするなつ。理知的で言葉を尽くす人の多かった北海道編からのギャップがもの凄い。ガチャガチャとモメるだけで、この回の話の進まなさったら酷いです(笑)。

第47話「亀山蘭子の登場」

第47話では、なつが漫画映画の世界に入るため上京したことが語られ、誤解が解かれます。
しかし、まだ話が大きく進展することはなく、この回も土台作りをしている感じですね。咲太郎の所属する劇団には、鈴木杏樹さんが演じる亀山蘭子がいて、咲太郎はその付き人をしています。この繋がりによって、後になつが携わる『白蛇姫』の声優を蘭子が務めることになるようです。

第48話「益岡憲三動画講義録」

第48話で、なつは陽平くんと仲努さんに自分が描いた絵を見てもらって、通用するかどうか訊ねます。「これでもイケる」と仲努さん。実際、高校生であれだけ描いていたらいけると思います。
そこでなつは、動きの参考になるからと、エドワード・マイブリッジの馬の動きが連続写真で収められた写真集を手渡されます。この写真を見ながら、ひたすら馬の動きを描くなつ。

アニマルズ・イン・モーション

このエピソードは、「日本のアニメーションの父」と呼ばれた政岡憲三さんの動画講義録が元ネタになっているんじゃないでしょうか。
1957年刊行の『アニマルズ・イン・モーション』という馬の動きを収めた写真集があり、その写真を益岡さんが絵にしたと思われる講義録が存在します。

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