『もののけ姫』に登場する神秘的なキャラクターのシシ神さま。一見すると、鹿のように見えるあの風貌は、その通り、鹿がモデルになっています。
宮崎駿監督が、『もののけ姫』の構想を練っている時期に、鹿を見ていて、森の神さまは鹿をモチーフにすることに決めたと言います。
神道では鹿は神の使い
なぜ、鹿を神さまのモチーフにしようと思ったのか。
それは、きっと、神道では鹿が神の使い「神使」と考えられているため、宮崎監督の中で結びついたのではないかと思われます。
古事記に登場する、天迦久神(あめのかくのかみ)が鹿の神さまだそうです。現代でも、春日大社・鹿島神宮・厳島神社では、鹿が神の使いとして、敷地内で飼われています。
諸星大二郎の影響
シシ神の顔は、なにやらマンドリルのような顔をしていて、鹿らしくありません。
なぜ、このような顔をしているのか。その答えは、資料を見ても記載されていませんが、宮崎監督が影響を受けた作品を探っていくと、推測することができます。
宮崎監督は、漫画家・諸星大二郎の熱心な読者として知られており、『もののけ姫』においてもビジュアル的に影響を受けています。
例えば、主人公・サンの風貌であったり、デイダラボッチが森を歩く構図などが指摘されています。
初期のイメージボードでは、シシ神は人面のデザインも考えられていました。
そして、諸星大二郎の漫画『孔子暗黒伝』には、解明獣という、人面の虎が登場しております。
人間の顔と、動物の身体というのは有り勝ちな設定なので、この影響を受けたかどうかはわかりませんが、諸星ファンの宮崎監督なので、頭のどこかにこのイメージがあったかもしれませんね。
シシ神の顔の模様が、前半と後半で色が違う
シシ神の顔には、横線の模様があります。
この模様が、最初に登場したシーンと、後半では色が違います。
最初に登場した、アシタカの傷を癒すシーンでは、縞模様が茶色になっています。
ところが、後半の登場シーンでは緑色です。
これにおいても公式設定というものはありませんが、シシ神の設定には「生命の授与と奪取を行なう神獣」とあります。
シシ神の通常時、もしくは生命を与えるときには茶色で、生命を奪うとき、もしくはデイダラボッチに変化する前兆として緑になっているものと考えることができますね。