スタジオジブリ作品はオリジナルストーリーの作品も数々ありますが、そんな中でも小説や映画などなど、様々な影響を受けています。
中でも、高畑勲監督と宮崎駿監督が敬愛していた、宮沢賢治の影響は大きなものがあります。
ジブリ作品において、どのような影響を受けていたのか、ご紹介します。
どんぐりと山猫
『となりのトトロ』でサツキとメイがバス停でお父さんを待っているときに、トトロが茫然と現れますが、あのシーンのイメージには宮沢賢治の『どんぐりと山猫』があります。
小説を読んだ宮崎駿監督は、挿絵に描かれていた山猫が小さかったことが気に入らなかったそうです。想像では、2メートルほどある巨大な山猫がぼう然と立って、足下でどんぐりがキイキイ言うシーンをイメージしていたことから、トトロの登場へと繋がっていきました。
ちなみに、三鷹の森ジブリ美術館の看板には、トトロに似た山猫がいます。
きっと、宮崎監督が思い描いた『どんぐりと山猫』のイメージも、こんな感じだったんじゃないでしょうか。
銀河鉄道の夜
『千と千尋の神隠し』で千尋とカオナシたちが電車に乗るシーンは、『銀河鉄道の夜』をイメージして作られています。
宮崎監督は、真っ暗な空に街の光が闇の中の星雲のように浮いていて、光がゆっくり周りながら遠ざかるというシーンを入れたかったそうですが、それはどうしても入らず諦めたそうです。
電車に乗っている人たちが、死者のように描かれているのは、『銀河鉄道の夜』を再現しようとした名残と思われます。
双子の星
ほんのワンシーンですが『平成狸合戦ぽんぽこ』で、正吉とおキヨが実行した「双子の星作戦」は、宮沢賢治の小説『双子の星』が題材となっています。
生徒諸君に寄せる
『コクリコ坂から』では、劇中で学生たちが合唱する「紺色のうねりが」という曲が出てきます。
これの歌詞は、1番を宮崎駿さんが、2番を宮崎吾朗さんが担当しています。
そして、この歌詞の原案となったのが、宮沢賢治の「生徒諸君に寄せる」という詩です。
セロ弾きのゴーシュ
こちらはジブリ作品ではありませんが、高畑勲監督が1982年にオープロダクションで手掛けた『セロ弾きのゴーシュ』があります。
宮沢賢治の同名小説をそのままアニメーション化しています。少数精鋭で制作され、5年の歳月をかけて完成させた自主制作作品です。
イーハトーブ
宮崎駿監督は1998年頃にテーマパークを構想していたことがあって、宮沢賢治の思い描いたイーハトーブの街を再現できないか、考えていたことがありました。
イメージボードも描き、建築家の荒川修作さんに相談もしていましたが実現には至りませんでした。その後、ジブリ美術館を造ることになり、別の形で実を結ぶこととなります。
種山ヶ原の夜
スタジオジブリの美術監督として有名な男鹿和雄さんは、宮沢賢治の戯曲『種山ヶ原の夜』を絵本にしています。
ジブリ作品では綿密に描く男鹿さんですが、こちらの絵本では柔らかなタッチで、宮沢賢治の世界を表現しています。
また、紙芝居映像として、男鹿さんが監督を務めた映像作品も「ジブリがいっぱいCOLLECTION」からDVD化されています。
種山ヶ原の夜 |