宮崎駿作品というと、描きたいシーンを先行させて、まずイメージボードを描いて、次に絵コンテを描きながらストーリーを決めていくという、連載方式の制作方法をとっています。
しかし、『魔女の宅急便』では、宮崎作品としては珍しく、シナリオを先に書いてから作られました。
ほぼシナリオ通りに作られた同作ですが、鈴木敏夫さんの要望により、ラストシーンで飛行船が事故を起こし、キキがトンボを救出するシーンが付け加えられたのは有名な話ですね。
それとは逆に、シナリオから削られたシーンもありました。それは、コリコの町に来たキキが、最初の夜、どうして良いかわからず、時計塔で一晩夜を明かすというエピソードです。時間的に長くなるという理由で、惜しくもカットされてしまったそうです。しかし、そのワンシーンを描いたイメージボードがあります。
当初は、宣伝用のポスター案として、近藤喜文さんが描きましたが、以上の事情から廃案となってしまったのだとか。
そのイメージボードは、『魔女の宅急便』ロマンアルバムのブックカバーを外した裏表紙に掲載されています。
なんとも、面白いところに載せますね。皆さん、ロマンアルバムを買ったら、カバーを外してみてください。それぞれの作品ごとに、イメージボードやラフ画が掲載されていますよ。
『魔女の宅急便』ロマンアルバム 宮崎駿監督のインタビューをはじめとした、「魔女の宅急便」誕生秘話、初期デザイン、設定資料、原画、レイアウト、美術設定、イメージボードなどを多数掲載。作品を紐解くガイドブックの決定版! |