『なつぞら』第11話では、なつの同級生・山田天陽君の紹介エピソードとなりました。
なつは、絵描きの少年・天陽君の家に遊びに行くところから始まり、天陽君のアトリエと化した部屋が登場します。まずそこで、『魔女の宅急便』でウルスラの絵を見るキキが思い浮かびました。天陽君が、「なつのこと描かせてくれよ」と言ってくれたら最高でしたけど、それはありません(笑)。
そして、この回では、天陽君の境遇が明らかになり、拓北農兵隊だったことがわかります。
東京大空襲で家が焼かれたような戦災者を対象に、旧政治体制下で行われた食料自給対策で、北海道へ集団移住・就農を奨励し、食糧増産を狙った計画でした。
しかし、そのときの北海道には痩せた土地しか残っておらず、農業経験のない移住者のほとんどが離農離村したという。天陽君の家族もその中の一員で、離農寸前のところです。
このことを知ったなつは、泰樹おんじに天陽君を助けてもらえないかお願いをします。これは、『アルプスの少女ハイジ』で、ハイジが壊れているペーターの家を直してもらえないか、アルムおんじに頼むところと重なりました。
荒井雄斗・吉沢亮が演じた山田天陽とは
ちなみに、天陽君は画家の神田日勝をモデルにしています。
「拓北農兵隊」として北海道に来たということ。
天陽君が死んだ馬の絵ばかり描いていたり、絵の具が買えないから黒い絵ばかり描いているというのは、実際の神田日勝のエピソードを下敷きにしています。
そして、初めて買った農耕馬が、馬喰に騙された年老いた馬だったというエピソードも、神田日勝が子供時代に経験した実話がベースになっています。
神田日勝は、32歳の若さで亡くなってしまった画家です。
そこが今後どのように扱われるのか気になります。
辛いエピソードが多いだけに、ドラマの中だけでも幸せに長生きしてほしいものですね。
神田日勝デッサン集 早世した農民画家の才能と思索の原点を辿る素描集。数多くの未発表作品を一挙収載。日勝自筆の書簡などを収録。 |