『レッドタートル ある島の物語』の完成報告会見に、マイケル・デュドク・ドゥ・ヴィット監督と鈴木敏夫プロデューサーが出席。高畑監督と鈴木さんの間に立ったヴィット監督は、開口一番「びっくりしています。1つは日本の皆さんに見ていただけること。もう1つは2人の巨人に挟まれていること!」と喜びを表現しました。
宮崎駿監督「あなたの作品は日本の影響を一切うけていない。それは見事である」
会見で鈴木プロデューサーは、宮崎駿監督がヴィット監督と対面した際、「素晴らしいスタッフと作品を作っている。俺もこのスタッフが欲しい!」と発言していたことを明かしました。
さらに「10年間、本当に粘り強く頑張りましたね。10年の間にはいろいろあったんだろうから、くじけそうになった時もあったでしょう。でも、それを最後までやり通したのが素晴らしい」と続け、「いま、世界のアニメーションの情勢は、良い意味でも悪い意味でも日本のアニメーションの影響を与えている。あなたの作品を見る限り、日本の影響を一切うけていない。それは見事である」と宮崎監督はヴィット監督にねぎらいの言葉をかけたと鈴木さんは語りました。
高畑勲監督「不安もあったが、見事に乗り越えた」
本作に参加した高畑監督は「アーティスティックプロデューサーという名前は立派だが、そんな役割はできていない。自分が監督するんじゃない作品に、途中の過程で意見を言ったりするのが初めての経験だった。不安もあった」と述懐。そのうえで、本作の完成を「大変嬉しかったし、安心した。非常に優れた作品ができたんじゃないかと思いました」を絶賛。さらに「彼は個人的なスタイル。それまで1人で作ってきているわけだから。チームでやることができるか、いろんな心配と不安があったが、それを見事に乗り越えた。おめでとう。素晴らしい仕事をしてくれてありがとう」と10年間の努力をねぎらいました。
ヴィット監督「意見の違いもあったが、ジブリの皆さんを信頼している」
ヴィット監督は「この映画の中でどのようなフィーリングを表現したいのか考えて、自然に対する尊敬の気持ちを感じていただける作品にしたいと思った」と説明。また、ジブリとの関わりについて「最初ジブリさんと契約書もなく始めた。信頼関係があったから何も決めずに仕事を始めることができた。意見の違いもありましたし、ちょっとしたいさかいももちろんありましたけれども、高畑さん、鈴木さん、ジブリの皆さんを信頼しています」と笑顔をみせました。
今後のスタジオジブリについて
また、現在のスタジオジブリの近況についても鈴木さんは言及し「アニメーションの世界も手書きからCGへの転換期。ジブリもその対応策を考えなくてはいけない時期。その中で宮崎駿は長編アニメからは引退しましたが、今でも短編はやっていますし『毛虫のボロ』などは手書きとCGが混ざった作品。また今回の『レッドタートル』のように企画という形で作品に携わったり……製作はジブリでCGはウチで、とか。まだまだ考えていかなきゃいけない、そういう時期だと思っています」と今後の展開を模索していることを明かしました。
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