本日から『思い出のマーニー』の公開が始まりました。同作の完成披露会見で、西村義明プロデューサーは「この作品はスタジオジブリにとっての新しい挑戦」と宣言しています。ジブリは宮崎駿監督と高畑勲監督の2枚看板で、古くはジブリ設立の切欠となった『風の谷のナウシカ』から始まり、『かぐや姫の物語』まで、日本映画の歴史に名を残す大ヒット作を次々と生み出すスタジオとなっています。
そのジブリに変化が起こったのが2013年のこと。宮崎駿監督の5年ぶりの長編『風立ちぬ』と、高畑勲監督の14年ぶりの新作『かぐや姫の物語』という、両巨匠の新作アニメ映画が同年に公開され話題を集めたが、『風立ちぬ』公開後、宮崎監督が長編アニメ映画からの引退を発表したのだ。
冒頭の西村プロデューサーの言葉は、こうした背景があって出てきた言葉だ。そう、この『思い出のマーニー』は、映画のどこを探しても両巨匠が関わっていない初めてのジブリ長編映画なのだ。
宮崎、高畑に続きジブリを背負って立つ看板監督が決まらず、長年後継者不足を指摘されてきたジブリだが、2000年代半ばになって、2人の新しい監督が誕生している。
1人が初監督作『ゲド戦記』が興収76.5億円で2006年の邦画NO.1に輝いた宮崎吾朗監督。宮崎駿監督の息子でもある。そしてもう1人が、2010年に『借りぐらしのアリエッティ』で監督デビューし、興収92.5億円を記録、その年の邦画NO.1になった米林宏昌監督。
その米林監督渾身の1本である『思い出のマーニー』は、宮崎監督が引退を発表し、高畑監督も高齢となった今、両巨匠の力なしでも「ジブリブランド」を保ち、かつ一世代も二世代も若返った「新しいジブリブランド」を構築できるのかどうかを占う、大事な作品なのだ。