宮崎駿作品で、『紅の豚』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』と、続けて声優として出演した、役者の上條恒彦さんが、様々な現場で感じた監督と役者の関係の重要性について語っています。
『紅の豚』で演じたマンマユート団のボス役は、当初予定していた役者が断り、回ってきた役であることが明かされました。
「『紅の豚』のマンマユート団のボス役は僕の当て書きみたいに見えますが、他に予定していた人が駄目になって回ってきたみたいです。あのアテレコはデジタル録音なので共演者は一緒にいなくて僕一人でやっていました。で、画面に向かって芝居していて、ふとブースを見ると宮崎さんがすっ転んで笑っている。『ああ、これでいいんだ』と思ってやりました。
そんなに厳しい指導はなかったですね。『ちょっとこの感じを膨らましてください』というような言い方で。僕の役はちょっと抜けた三枚目な役ですから、愉快にやればいいみたいな雰囲気がありましたね。
僕もこの声だけで、そんなに引き出しがあるわけではない。ですから、大変なのは監督ですよ。苦労してキャスティングしても思うように演じてくれないというミスキャストもありますからね。