『思い出のマーニー』のアートブック、「THE ART OF 思い出のマーニー」をご紹介します。
毎回豪華な内容となっている、ジ・アートシリーズ。ジブリ作品では、お馴染みですね。本書においても、インタビューやメイキングから、豊富な背景美術が掲載されていて、映画がどのように作られたか知ることができます。
ざっくりと掲載内容を書いてしまうと、スタッフのインタビュー、ラフスケッチ、イメージボード、キャラクター設定、美術ボード、場面スチールなどなど。
今回、特筆すべき点としては、豪華なスタッフ陣というところでしょうか。
作画監督に、安藤雅司さん。美術監督に、種田陽平さん。こちらのお二人が、同じ映画に携わっているというのが、今思うとなんだか不思議な感じがします。
米林宏昌監督のイメージボード
イメージボードは、相変わらずたくさん掲載されています。
しかし、今回は、初期のキャラクター設定や場面設定のような、ラフ画も多いです。作品を掴もうとする模索が見られます。
『借りぐらしのアリエッティ』のときは、大枠の設定を宮崎駿さんがやっていたので、その役割を自分でやっているということでしょうか。明らかに、前回とは作り方が違います。
ちなみに、マーニーは初期イメージのままですけど、他のキャラクターは、ほとんどみんな違う顔をしていて面白いです。
種田陽平のスケッチ
今回、美術監督を務めた種田陽平さんによる、スケッチが26ページ掲載されています。ちょっとだけ、本人による解説もついています。
それから、本作で美術設定を務めた船木愛子さんによる、湿っ地屋敷の図面もあります。船着き場から、建物の入り口など、位置関係がよくわかります。
スタッフインタビュー
インタビュー記事は、美術スタッフが中心になっています。作画スタッフは、安藤雅司さんだけ。豪華なメンバーが参加してるんですけどね。アートブックだから、どうしても仕方がないかな。
安藤さんのインタビューを読むと、この作品がいかに安藤色が強いかがわかります。
インタビュー内容:
監督:米林宏昌
美術監督:種田陽平
映像演出:奥井敦
美術:西川洋一
美術:吉田昇
美術:大森崇
美術:髙松洋平
背景美術・美術ボード
背景美術については、かなり描き込まれたものが多いんですけど、引き画のものはわりと淡泊に描かれていて、ちょっと不思議に思いました。何か演出意図や、事情があってのことなんでしょうけど。
掲載内容については、米林監督のラフスケッチから始まり、種田陽平さんが描いた場面スケッチから、美術ボード、映画本編で使われた背景美術まで、すべて網羅されているんじゃないでしょうか。さらに、安藤さんの描いたキャラクター設定もあります。アート本としては、言うことなしの充実の内容でしょう。
そして、巻末にはお馴染みの「アフレコ台本」が掲載されています。
すべての台詞がわかるので、一度映画を観たうえで、文字でふり返りたいときにはお勧めです。
ジ・アート・オブ 思い出のマーニー 米林宏昌監督によるイメージボード、作画監督の安藤雅司さんによるキャラクター設定画、美術監督の種田陽平さんによる美術イメージボードなど。 |