スタジオジブリ最大のヒット作、『千と千尋の神隠し』のロマンアルバムを簡単にご紹介します。
こちらの本は、用語・解説集やインタビュー、作品舞台の参考となった場所の紹介などが、読み物として最も楽しめる項目でしょうか。
ロマンアルバムは、ジブリ作品を紐解くのに欠かせない一冊です。
フィルムストーリー
映画本編の画像がたくさん掲載されていて、ストーリーが追えるようになっています。
迫力あるシーンでは、画像もわりと大きめに使われています。巻末には、主題歌『いつも何度でも』の歌詞もあります。
イメージボード
宮崎駿監督の描いたイメージボードが、2ページにわたり掲載。ブータレの千尋や、ハクとの出会い、油屋など。そんなにボリュームのあるものではないので、もっとたくさん見たい人は、『ジ・アート・オブ 千と千尋の神隠し』を買うと良いでしょう。
キャラクター紹介
登場人物紹介では、主人公の千尋やハクはもちろん、牛鬼やオオトリさま、おしらさま、名もなき霊々など、脇役まで細かく掲載。全6ページにわたり紹介されています。
大図解 油屋
不思議の町と油屋の外観、さらに内部構造まで、その一部が解説されています。
絵コンテとフィルムから推測して、図面化したものなので、宮崎駿監督公認の資料ではないです。
しかし、宮崎監督は図面を作ることもなく、この町を作りあげたかと思うと、妄想力の凄まじさを感じます。
キーワード事典
五十音順に掲載された、『千と千尋の神隠し』用語・解説集です。やはり、ロマンアルバムは、この手の解説集やインタビュー集が魅力です。充実していて、読みものとして楽しむことができます。さらに、『千と千尋の神隠し』を読み解くための関連書籍も紹介されています。
『千と千尋の神隠し』の制作工程
『千と千尋の神隠し』がどのような工程を経て作られたのか、図解とテキストで解説。スケジュールの遅れから、初めて韓国に動画の発注をしたことや、公開2週間前にようやく完成したことなどが綴られています。
スタッフインタビュー
宮崎駿監督のインタビューが、なんと6ページも掲載。鈴木敏夫プロデューサーが2ページ。さらに、作画監督を務めた安藤雅司さんのインタビューが、キャラクター設定と共に掲載されています。この内容が、個人的にはオススメです。
美術監督の武重洋二さんは、背景美術も一緒に掲載。デジタルスタッフのインタビューは、画面作りのメイキングも紹介されています。
あと、宮崎監督が書いた、『千と千尋神隠し』の企画書も掲載されています。
インタビュー
監督:宮崎駿、プロデューサー:鈴木敏夫、作画監督:安藤雅司、賀川愛、高坂希太郎、動画チェック:舘野仁美、美術監督:武重洋二、デジタル作画:片塰満則、映像演出:奥井敦、監督助手:宮地昌幸、音楽:久石譲、主題歌作曲・歌:木村弓、主題歌作詞:覚和歌子、
声優インタビュー
主要キャストの7名のインタビューが掲載されています。リン役の玉井夕海さんが、宮崎監督が指導する「東小金井村塾Ⅱ」の生徒だったことが語られています。
インタビュー
千尋:柊瑠美、ハク:入野自由、湯婆婆・銭婆:夏木マリ、リン:玉井夕海、千尋の母:沢口靖子、千尋の父:内藤剛志、釜爺:菅原文太
レイアウト・原画
5名のレイアウト・原画集が、9ページ掲載されています。
高坂希太郎さんは、パイプを渡る千尋を担当。
賀川愛さんは、トンネルを抜けて不思議の町に入った千尋と、布団に入って震える千尋。
田中敦子さんは、坊の不在を知った怒りの湯婆婆に凄まれる場面。ご自身お気に入りのカットなのだとか。
大平晋也さんは、ボイラー室を覗き、釜爺に声をかけるまでのシーン。
山下明彦さんは、本作のハイライトともいえる、千尋とハクの二人が落下しながら手をつなぐシーン。山下さんは、この作品が初のジブリ作品です。
個人的には、レイアウト・原画集だけで一冊作ってもらえると嬉しいです。でも、売れないかな……。
『千と千尋の神隠し』解説
本作における食べ物や、炎や水の表現、アクションシーンなどを、これまでの宮崎作品と照らし合わせる形で紹介してあります。
千尋をさがして ~異郷をめぐる旅~
本作を作るうえで、宮崎駿監督が影響を受けた、信州・遠山郷「霜月祭」や、油屋と不思議の町の参考になった「江戸東京たてもの園」や「目黒雅叙園」などが紹介されています。さらに、有楽町のガード下にある歓楽街を思い浮かべながら、不思議の町を描いたことが明かされています。
『千と千尋の神隠し』ロマンアルバム 名シーンを網羅したフィルムストーリー、ビジュアル資料、スタッフの声が伝わるメイキング、宮崎駿監督インタビューなど、知りたいことがみんなわかる大事典。 |