アニメージュ文庫 名探偵ホームズ

今ではあまり注目を集めることもなくなってしまいましたが、宮﨑駿監督はTVシリーズの演出もたくさん手掛けています。
『名探偵ホームズ』は有名どころの一つですが、タイトルは知ってるけど観たことない、という人も多いかもしれません。



なにしろ、現在ではTV放送や劇場上映の機会が極端に減ってしまったので、無理もありません。
そこで、オススメなのがこちらの書籍。徳間書店から出ているアニメージュ文庫の『名探偵ホームズ』です。

本書は、宮﨑駿監督が演出と監督を担当したエピソードを編集したもので、場面写真を使用したフィルムストーリーが掲載されています。ざっくりと、物語を追うことができます。

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ

全6巻で、1巻「青い紅玉」、2巻「海底の財宝」、3巻「小さな依頼人(小さなマーサの大事件!?)」、4巻「ソベリン金貨の行方(ねらわれた巨大貯金箱)」、5巻「ミセス・ハドソン人質事件」、6巻「ドーバーの白い崖(ドーバー海峡の大空中戦)」として書籍化されました。

TV放映時とサブタイトルが変更されているので、ちょっとややこしいですが、( )内が放映時のサブタイトルです。

『名探偵ホームズ』自体は全26話ありますが、宮﨑監督が演出と監督を手掛けたのは、この6タイトルがすべてです。

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ

本書では、この宮﨑回のエピソードが追えるだけではありません。
今では貴重な宮﨑監督が『ホームズ』について話したインタビューや、設定資料も掲載されているのです。
それら巻末特典の内容をご紹介します。

『名探偵ホームズ』第3巻

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ
まず、第3巻「小さな依頼人」にはキャラクター設定資料と、「漫画映画万歳!」と題したライターの町田知之さんによる寄稿文があります。
『名探偵ホームズ』の設定資料は、ジ・アートには収録されていない絵も掲載されているので、貴重なものと言えるでしょう。

『名探偵ホームズ』第4巻

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ
第4巻「ソベリン金貨の行方」の特典には、「おもしろハンドブック」として怪盗モリアーティを紐解く解説文が掲載。さらに、本作に登場するメカの設定資料も掲載されています。

そして、なんといっても嬉しいのが宮﨑駿監督のインタビューです。モリアーティに関するものと、メカニックに関する2編のインタビューに加え、寄稿文「のりもの孝=発想からフィルムまで 視点の移動」が収められています。

これを読むと、宮﨑監督がどのように視点を意識してアニメーションを作ってきたかわかります。現在では、あまり読むことができないような内容です。

ちなみに、この「のりもの孝」は、月刊アニメーション80年7月号の再録です。

『名探偵ホームズ』第5巻

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ
第5巻「ミセス・ハドソン人質事件」には、「『ホームズ』との関わりをめぐって」と題し、富沢洋子さん(現:五味洋子さん)が聞き手となった宮﨑駿監督のインタビューが掲載されています。

こちらは、11ページとボリューミーです。『ホームズ』を作るにあたっての経緯や、制作にまつわる裏話が面白いです。

『名探偵ホームズ』第6巻

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ
第6巻「ドーバーの白い崖」には、宮﨑監督によるイメージボードがカラーで8ページ掲載されています。

こちらは、ジ・アートにも掲載されているものですが、そのジ・アートがプレミア価格で入手困難になっていることを考えると、嬉しい内容ではないでしょうか。

さらに、幻の1話「モリアーティの挑戦」と題した、脚本を収録。これは、宮﨑監督の構想をきいた町田知之さんが脚本形式にまとめたものです。

以上が、

アニメージュ文庫 名探偵ホームズ
アニメージュ文庫『名探偵ホームズ』の巻末特典です。
この特典だけでも、購入する価値はあるんじゃないでしょうか?