2016年夏に公開予定の『ゴジラ』シリーズ新作映画の総監督・プロデューサーを、庵野秀明氏が務めることが明らかになった。監督・特技監督は、庵野氏の30年来の盟友・樋口真嗣氏が担当する。庵野氏は、一度は総監督就任を固辞したが、東宝の誠意と樋口氏の熱意に動かされ、「今しか出来ない、今だから出来る、新たな、一度きりの挑戦」と、3月に監督を引き受けることにしたという。
庵野氏はゴジラの空想科学の世界について「夢や願望だけでなく、現実の風刺や鏡像でもある」と指摘。「正直、世界資本に比べると制作費も制作時間も極端に少ない日本の現場で、様々な内容面に関する制約の中で、果たしてどこまで描けるのかはわかりません」と不安を吐露しつつも、「映画としてのプライドを持ち、少しでも面白い映像作品となる様に、本作もシン・エヴァも全力で作っていく事が、今の僕に出来る事だと思って作業を進め」てきたという。
「2012年12月。エヴァ:Qの公開後、僕は壊れました」――エヴァ:Q公開後に陥った「鬱状態」は「6年間、自分の魂を削って再びエヴァを作っていた事への、当然の報い」だったと振り返る。13年はスタジオに一度も近づくことができず、「ズブズブと精神的な不安定感に取り込まれていった」という。
だが「妻や友人らの御蔭で、この世に留まる事が出来」、宮崎駿氏に頼まれた声の仕事(「風立ちぬ」の主人公・堀越二郎役)が「アニメへのしがみつき行為」として機能。「日本アニメ(ーター)見本市」として結実したアニメ短編集企画の構想を通じ、アニメが好きだったことを確認できたと振り返る。14年の初頭、ようやくスタジオに戻ることができ、1年以上かけて心のリハビリを行い、徐々にアニメの仕事に戻ってきたという。
旧エヴァの放送から20年後となる2015年の今、シン・エヴァンゲリオン劇場版の完成への実現に向けた作業も「なんとか進められている」という。庵野監督を支える周囲の人々やアニメファンへの感謝をつづり、「皆様から、シン・エヴァの公開まで今しばらくの時間をいただければ、幸いです」としている。