太田光『かぐや姫の物語』爆笑問題の太田光が1日、都内で行われた高畑勲監督作『かぐや姫の物語』DVD&ブルーレイ発売記念イベントに出席。スタジオジブリ・プロデューサー見習いの川上量生氏と対談した。近年日本映画界が海外の映画祭で賞を取ったことを一番のセールスポイントにする風潮に「それが何?」と不満の表情を見せた。



本作は、第87回アカデミー賞長編アニメ賞の審査対象20作品の中の1本でもあるが、太田は「一番の売り文句に『アカデミー賞にノミネートされています』と付くとしたら、それはあまりにも高畑勲に失礼」と日本の古典をモチーフに日本語で作られた本作の評価が、米アカデミー賞受賞か否かで騒がれることに不満顔。

「ここのところ日本映画は『外国で賞取りました』っていうことをすごく売りにするけど、『それが何?』っていうところが俺にはある」と太田。「僕は落語が好きだけど、日本語のわからない人に落語はわからないと思っていますよ。『談志さんの落語のすごさとか外国人にわかってたまるか』とか思うし、わからせたいとも思わない。日本人の客が感動しているんだからそれで充分じゃないって思うんです。あまりにも世界、世界って言いすぎ」と発言。

「外国の人が日本の富士山を見て感動するのは当たり前のこと」と“クールジャパン”を売りに海外評価を騒ぐ映画界の傾向に疑問を投げ掛けた。

対談では、同映画の魅力について、太田が珍しく真面目に熱弁。「言葉にできない感動があった。言葉で簡単に言い表せたら作品つくる必要ない。哀しいとか、うれしいとか、胸騒ぎとか嫌悪感とか、いろんな感情が全部入っていて、結局、陳腐な言葉になっちゃうけど、すごいなと思いました」。

さらに「ストーリーや理屈は抜きにして、風の音や、木々の揺れをボーっと見ているだけで時間が過ぎていく」と高畑作品における自然の描写の“すごさ”を語った。

太田は、鈴木敏夫プロデューサーに任命され本作の“特命コピーライター”を務めたが、「いろいろ考えていたけど、鈴木さんに誘導されちゃって」とコピーの仕事を苦笑いで述懐。「もののけ姫よりかぐや姫」など太田らしいアイデアも多数出していたというが、最終的に「あゝ無情」という宣伝コピーが採用された。
「話しの流れで、鈴木さんがどんどん書いちゃって。映画を観て、時間の流れは留めておけない切なさを感じたから、“無常”というキーワードを出したんだけど、鈴木さんが“無情”のほうがいいなって(笑)」と暴露。「鈴木さんがこれでいいって言うなら文句ない」と大人な対応を見せていた。

太田はかねて「俺は宮崎監督が大嫌い!」と公言している。この日も「宮崎駿は嫌いでね。高畑派」と一言。その理由に「世界中で売れまくっているのでジェラシーもある」と本音をのぞかせる。
「宮崎さんはあまりにもすごいけど、高畑さんのほうが先輩でツートップでここまで来た人だから、もうちょっと高畑さんの評価が上がってもいいんじゃないかな」と説明。「僕がバッシングしたところでどうこうなる問題じゃないから、安心して悪口を言える」とほほ笑んだ。

このイベントはニコニコ生放送で放送され、午後1時から約50分間の生放送を終えた時点での視聴者数は14816人。深夜とゴールデンタイムの平日平均が1万人程度であることを考えると、この時間帯としてはかなり注目を集めたといえる。
太田は「シコシコ動画に初めて出るんだよな。『太田、死ね』とって文字が流れているんじゃない?」と自虐的に始まったニコ生だったが、最後には拍手を意味する数字の「8」が並び、概ね好評だった模様。
初めてニコニコ動画に出演した太田は「また“シコシコ動画”に呼んでもらいたい」と川上氏に語りかけていた。

今回宣伝コピーとなった「あゝ無情」に加えて、決定までに飛び出した35種類の候補が、70枚のポスターとして12月1日(月)~7日(日)の期間限定で、大江戸線六本木駅に掲出されている。

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