スタジオジブリが舞台のドキュメンタリ映画『夢と狂気の王国』を監督した、砂田麻美さんのインタビューが、「女性自身」で公開されています。
『夢と狂気の王国』は『風立ちぬ』製作の佳境であった昨秋から9月に行われた引退会見までの約1年間を丹念につづり、宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫プロデューサーというジブリをけん引する”3人の王”の魅力をあますところなく伝えている。
”忍者のように”気配を消して撮影
「一度、宮崎監督に『私、本当はカメラは回したくないんです……』と言ってしまいました。そうしたら『それくらいでちょうどいい』とおっしゃって。本当に穏やかで優しい方でした」
宮崎監督は”先輩として”映画製作のアドバイスまでしてくれた。
「人の内面を映像で描きたいなら、顔のアップばかり撮っていてはダメだ。そこには何も映っていないよ、と」
実際、映画には宮崎監督が家中の窓を戸締まりして歩く後ろ姿、猫と会話する横顔など、あらゆる角度から監督の素の姿がとらえられている。
鈴木プロデューサーからも毎日のように鍛えられた。
「撮影初日に宮崎監督に『今日から撮影させていただきますのでよろしくお願いします』と挨拶をしたんです。そうしたら、あとで鈴木さんに『あのタイミングはダメ』と注意されました。私としては何も言わずにカメラを回すなんて失礼を超えて”テロ行為”だと思っていたのですが、それは単なる、安心したいだけの自己満足だったんですね」
その挨拶は、大事な会議が始まる直前だったのだ。鈴木さんは丁寧に諭してくれた。
「まず『気配りという言葉から”り”を取ると何になる?』と聞かれました。私が『気配ですか?』と言うと、『そうだ』とうなずいてから、こう教えてくれたんです。『取材とは、自分の気配を出すとき出さないときの差し引きで決まる』と」