先日、「株式会社カラー」の取締役に就任したことについて、日本経済新聞が川上量生さんに取材していました。
ここでは『ナウシカ』の続編については発言していません。大枠が語られているので、具体的にどのような動きがあるか、詳細は発言していません。
川上さんの役割は、日本のアニメーション文化の庇護者になるということで締めくくられています。



株式会社カラーの取締役になった経緯は?

「鈴木さんに(カラーの取締役にならないかと)言われたんですよ。もともとは庵野さんが鈴木さんに、そういうことが可能かどうかを相談したと聞いていますが、本当のところはよく分からない。そのあと、庵野さんからも正式に同じ話をされました」

「庵野さんって経営も何もかも、ぜんぶ自分でやりたがる人なんで、すごい大変なんです。だから、経営の部分を誰か信頼できる人に助けてもらいたいと庵野さん自身も思っていて。で、この1年くらい、僕も庵野さんと付き合わせていただき、まぁ、信用してもらえている。僕はIT(情報技術)やインターネットの領域は得意なので、そこで力になれたら、という感じですよね」

 

カラーで何をするのか?

「新しいビジネスモデルを考えてくれたらいいなぁ、くらいには(庵野さんに)思ってもらえているんじゃないかと思います。今のテレビを軸としたアニメの製作モデルは崩壊しかかっていて、個人的には今とは違う形でネット時代のアニメのあり方というものを考えたい」

「ネットを通じてアニメを視聴する際の料金体系は(ほかの動画も含めた)定額制のパック商品が主流ですが、僕はコンテンツそのものに対してお金を払う方が健全だと思うんですよ。コンテンツ自身がお金を稼げるようにならないと、やっぱいいいものは生まれない。そういうモデルをネットで作るべきだと思っていて、そういうことが(カラーで)できたらいいですよね」

 

プロデューサー業のために、庵野監督と付き合っておけ、ということなのか?

「そこは違う。鈴木さんはね、そういう解釈も可能な状況を作ってはいるんだけれども、必ずしもそうしよう、そうなれとは思ってはいない。そこは難しいんですけれど……。僕はアニメを作ることが自分の本分だとは思えない。という話を、鈴木さんにも言っていて、鈴木さんも理解してくれている。自分の本分があるとしたら、それはITだと」

「鈴木さんは、吾郎さんや庵野さんと僕をくっつけて、何かが起こるといいなと見ているだけなんですよ。何か化学反応のようなことが起きたら面白いなと楽しんでいる。世間が勝手にいろいろな臆測をすることも含めて、楽しんでいると思いますけどね」

(略)

「すごくおこがましいんですけれど、(ジブリやカラーにとって)僕が果たすべき役割があるとしたら、氏家さん(故氏家斉一郎・前日本テレビ放送網会長)だと思うんですよね。文化の庇護(ひご)者ですよね。そのためにはドワンゴをもっと大きくしなきゃいけない。もしジブリに何かあった時、まだ支えられる規模じゃないんですよね、ドワンゴは。ジブリにせよカラーにせよ、そういう文化を守っていける会社を作るというのが、僕の役割だと思ってる」

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著者:川上量生
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