『風立ちぬ』特集の「アニメージュ」8月号と、宮崎駿と半藤一利の対談が掲載された「文藝春秋」8月号を買ってきました。
「アニメージュ」のほうは、ヒロインの菜穂子の声優をした滝本美織さんと、作画監督をした高坂希太郎さんのインタビューに加えて、完成報告会見のレポートの全文が掲載されています。
「文藝春秋」の対談は、宮崎駿監督が『風立ちぬ』を作成の経緯を掘り下げて語られています。また、戦時中の話を中心とした堀越二郎氏の逸話などなど、とても内容が濃くて、読み応えがあります。
それから、映画とはまったく関係のない、夏目漱石の話で大盛り上がりしていて面白いです。
「アニメージュ」8月号 滝本美織・高坂希太郎インタビュー
滝本美織
「じっくりと描かれる、菜穂子と二郎さんの時間が、すごく好きです」
高坂希太郎
「宮崎さんは、堀越二郎を自分に近い何かを持った人物と感じていたみたいです」
「文藝春秋」8月号
『風立ちぬ』戦争と日本人 宮崎駿×半藤一利 対談
半藤:
なぜ堀越二郎を主人公に、と考えたのですか。宮崎:
彼を描かないと、この国のおかしさが描けないと思ったんです。僕は、ある時まで「戦前」という時代を想像できませんでした。目の前は焼け野原だらけで、あれだけの人が死んだ。南方や中国では悲惨なことをいっぱい起こしたことを知ると、あまりにもこの国が屈辱的に感じられ、戦前の日本は“灰色の世界”としか思えなかった。そんな中で、人はどうやって生きてきたのか。自分の父親はいい時代だったと言っていました。どうも、うまく噛み合わなかったんです。それと、ヒコーキ好きや、架空戦記もののマニアから零戦をとりもどしたかんたんです。(略)
半藤:
映画の中で、零戦を牛車で運ぶ場面がありましたね。名古屋の工場から各務原の飛行場まで丸一日かかった、というのは有名なエピソードですが、トラックでの輸送も、そのための舗装道路も、最後まで実現できなかった。非常に印象的なシーンです。(略)
宮崎:
中島飛行場でも、群馬の小泉製作所から所沢飛行場までやはり牛で引っ張っていました。一部、あまりにも凹凸があるので、コンクリートで舗装したところがあって、これは今も残っています。実は『となりのトトロ』でサツキがトトロと傘をさして立っているバス停がそこなんですよ。
広いのに人気がなくて、横にお稲荷さんがあるという不思議な道だったのですが、今は周りの木が切られてしまって、まるで違った景色になってしまいました。
「文藝春秋」8月号宮崎駿×半藤一利 対談 『風立ちぬ』戦争と日本人 |