海がきこえる THE VISUAL COLLECTION

ついに、と言いますか、いよいよ、と申しますか、テレビ放映から31年の時を経て、『海がきこえる』のビジュアルブックが発売されました。


本作は、1993年5月5日に日本テレビで放映されたスタジオジブリ初のTVアニメーション作品。公開当時から根強いファンを獲得していたものの、作品の知名度は低かったため、コアなジブリファンが愛する名作という位置付けにありました。



知名度が低かったことが関係しているのか、ジブリ作品でシリーズ化されているロマンアルバムやジ・アート等の書籍展開も、『海がきこえる』だけはありませんでした。
長らく不遇の時代を過ごした『海がきこえる』ですが、その潮目が変わり始めたのが、今年のことです。

東京のBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下で、3月15日から4月25日まで『海がきこえる』の劇場上映が行われたのです。
連日満員の大盛況で、あまりに人気なのでロングラン上映され、望月智充監督と高橋望プロデューサーによるトークイベントまで開催されました。

海がきこえる THE VISUAL COLLECTION

当時、「若手制作集団」によって、若者に向けて制作された『海がきこえる』は、31年の時を経て現在の若者に再発見されたのです。

そして、満を持して発売されるのが、ビジュアルブックの『海がきこえる THE VISUAL COLLECTION』というわけです。

本作はアート本がなかったので、今回の刊行に歓喜しているファンは多いんじゃないでしょうか。
なにしろ、本作の原作小説の挿絵は、ジブリの作監でお馴染みの近藤勝也さんが、大量に描いているのです。
アニメーションのイメージボード的な役割も果たしたイラストが大量にあるのに、なぜ書籍化しないのか。と昔から、書籍化を願う声を上げ続けてきましたが、ついにその声が届きました。ありがとうございます。

海がきこえる THE VISUAL COLLECTION

今回のビジュアルブックが素晴らしいのは、その挿絵がすべて収録されているだけではなくて、近藤勝也さんが描いたスケッチが収録されている点でしょうか。
『海がきこえる』のビジュアルを創作するうえで描かれた、いわば草案が収められています。これらの絵は、以前開催された「近藤勝也展」で展示されていたものもあるのですが、残念ながら図録には一切収録されていませんでした。
もうこの先、見る機会はないだろうと思っていた、スケッチの数々が収めれていて感激でした。ありがとうございます。

さらには、キャラクター設定資料や美術設定資料。続編の小説『海がきこえるⅡ アイがあるから』の挿絵も収録されています。

巻末には、1993年と2024年に行われた、メインスタッフのインタビューもあって、もはや言うことはありません。大満足の一冊です。
刊行していただき、ありがとうございました。

海がきこえる THE VISUAL COLLECTION
発売日:2024年10月25日
価格:3,520円(税込)

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