ジブリ作品といえば様々な考察が広まりますが、中でもその筆頭が『千と千尋の神隠し』でしょうか。
作品世界が奥深いうえに、説明が省かれていることから、いろいろな読み解き方ができる作品になっています。
本作には有名な考察があります。千尋が油屋に迷い込み、湯婆婆の契約書にサインするところで、字を間違えているシーンです。
本来であれば「荻野千尋」と書かなければいけないところ、千尋が書いたのは「获野千尋」と書いてあります。
「火」の箇所が「犬」になっていたため、千尋は本来の名前を奪われず、湯婆婆から支配されずに済んだという考察です。
これは、宮﨑監督が描いた絵コンテの段階から文字が間違っているため、作画スタッフのミスではなく、演出上のことに違いないと、長らくそういった読み解き方をされてきました。
しかし、2022年に上演された舞台版『千と千尋の神隠し』において、鈴木敏夫さんは「舞台で登場する文字が、映画同様に間違った文字だから、これを直したい」と発言しています。
そのため、演出上のものではなく、宮崎駿監督が間違えた可能性が高いものとみられていました。
そして、先日『千と千尋の神隠し』がテレビ放映された際に、米林宏昌監督がSNSに「名前の漢字が間違ってるのを金曜ロードショーの予告で見つけたけど直されることはなかった」と投稿。さらに、間違っていることを宮﨑監督にも報告したけれど、「緊張していて間違えたんだ」と監督は回答され、修正されなかったと当時のエピソードを投稿しました。
間違いがわかったあと監督に報告したけど、緊張していて間違えたんだ、と修正されなかった…と記憶している。
いくら緊張してても自分の名前間違えるかしら。— 米林宏昌 (@MaroYonebayashi) January 5, 2024
単純な書き間違いから始まったことですけど、いろいろな考察が生まれ、作品の観方が幅広くなっていくのもジブリ作品らしいですね。