東京の松屋銀座で始まった「アニメージュとジブリ展 一冊の雑誌からジブリは始まった」に、開幕初日となる15日に行ってきました。
本展は、鈴木敏夫プロデューサーが、「アニメージュ」編集に携わっていた時代に焦点を当てた展覧会で、スタジオジブリを設立するまでの道筋を照らしたものです。
ジブリ関連の展覧会は、これまでにも数多く開催されたものの、アニメージュの文脈から紹介されたのは、意外と今回が初めてのようです。
銀座駅の地下通路は「アニメージュとジブリ展」が占拠!
東京メトロの銀座駅は、地下通路の一面が「アニメージュとジブリ展」の広告になっています。
宮崎作品を中心に、鈴木さんが携わっていた時代のアニメージュが表紙です。
ちなみに、銀座駅の出口はA12から行くと、地下通路から直通で松屋銀座に入れます。
音声ガイドは券売機で
今回の展示は、クラリスやナウシカを演じた島本須美さんが、音声ガイドを担当しています。
といっても一般的な音声ガイドとは違っていて、ジブリの高橋望さんとの対談方式で、ラジオを聴いているような感覚に近いです。
通常の音声ガイドとは少し違うので、まず展示エリアに入ったら、先に音声を聴くことに集中して、そのあとに展示物を読むなり、観るなりした方が、頭に入りやすいと思います。
音声ガイドは券売機でチケットを購入しておく必要があります。
一般的な展示ですと、入場口で料金を払って借りたりしますけど、今回は混雑を避けるためか、券売機となっております。
600円ですけども、ジブリファンからしたら惜しくないと思います。
8階に上がってすぐのところには、鈴木敏夫さんと宮崎吾朗監督のサイン入りポスターもあるので、要チェックです。
エントランス
入口がいきなりフォトエリアになっていまして、アニメージュの表紙パネルが、壁一面に吊り下げられています。
いろんな作品が表紙になっているんですけど、やはり宮崎作品に目が行ってしまいます。なんとも壮観です。
そして、壁には鈴木さんが描いたイラストとサインがあります。
トトロが、「ボクがいない…!?」と言っているように、本展はアニメージュ創刊から、スタジオジブリの設立までを追っているので、『となりのトトロ』は取り上げられていません。考えてみれば、「ジブリ」と冠した展覧会で、トトロが出てこないのは珍しいかもしれないですね。
ガンダムのジオラマ
中に入ると、「アニメージュ」創刊の歴史から始まり、本誌の表紙作りに関してのエピソードも紹介。創刊号の『宇宙戦艦ヤマト』の表紙は、かなり力を入れていたそうです。このころは、まだ鈴木さんが編集長ではありませんが、鈴木さんが主導となって、表紙作りをしていたんですね。
そして、『ヤマト』の次にアニメブームを牽引した『ガンダム』も紹介されていました。
鈴木さんから『ガンダム』のエピソードは、あまり聞いたことがなかったのですけど、鈴木さんと富野由悠季さんは仲が良いそうです。
ブタの谷のブタシカ
当時物と思われるアニメージュの中つり広告も沢山展示されていて、『ナウシカ』や『カリオストロの城』のものが魅力的でした。
あれは、そのまんま複製して販売したら、けっこう売れそうな気がするんですけどね。グッズにはなっていませんでした。残念。
それから、アニメージュの当時の付録や、アニメージュ文庫なども展示されています。
ジブリ関連のものはすべて見たことがありましたけど、それ以外は知らないものばかりでしたね。ジブリ以外は、かなり疎いです。
それから、押井守監督作品の『天使のたまご』に関するエピソードも紹介されていて、天野喜孝さんのイメージボードも展示されています。
漫画版『風の谷のナウシカ』の生原稿も展示されているので、これは要チェックです。
印刷版では見ることのできない、エンピツで描かれた勢いのある線が確認できます。
一生に一度、見れるかどうかの代物じゃないでしょうか。
展示後半にある『風の谷ナウシカ』公開当時の資料には、宮崎駿監督が描いた『ブタの谷のブタシカ』なんてものもありました。
ブタが腐海装束を着ているという、レアな一品。宮崎監督は、このときからブタを描き続けていたんですね。
衝撃の立体造形物
展示後半は、造形作家・竹谷隆之さんによる、『風の谷のナウシカ』の腐海装束や、ナウシカが持っていた小物類。朽ち果てた巨神兵のジオラマなどが、展示されています。
このナウシカが着ていた腐海装束が、もうめちゃくちゃカッコイイんですよね。映画で観たのとは印象が違うんですけど、実際に使い込まれたようなダメージも再現されていて、「あ、本物ってこうなってるんだ」って思わせるリアリティがあります。
映画では、わりと薄手の服に見えましたけど、再現されたものはしっかりとした厚手の服です。
手袋なんかも、アウトドア用の防寒性が強そうなもので、それこそ焚火の薪をそのまま掴めそうな革製です。
そうだよなぁ、ナウシカは風使いだし、蟲とも接するし、空も飛ぶんだから、頑丈な服を着てるはずだよなぁ、とか思いました。
一応、宮崎駿監督が考えた設定では、フェルトの服ということになっていて、材質に関しては忠実なんだと思います。
そして、この服を着ているマネキンは、おそらくナウシカが再現されているんだと思うんですけど、かなり鍛えられた身体してるんですよね。
小柄ではあるんですけど、身体能力が高い、筋肉質な身体をしているのが、服の上からもわかります。ウエストの締まり具合と、広背筋の盛り上がかたや、しっかりとした太ももなどから、こりゃかなり動ける人だな、なんてことも思いました。実際にナウシカがいたら、こういったアスリートのような身体をしているのかもしれませんね。サンも、実際にいたら、めちゃくちゃカッコイイ体形なんだろうな、と思ったりしました。
さらに、最後の展示エリアでは、マクセルのCM用に宮崎駿監督がデザインしたワンダーシップ号や、空に浮かぶラピュタなど、模型が充実しています。
本展示は、これにて終了なのですが、このあとに続くグッズコーナーが、歴代ジブリ関連の展示の中で、最も豪華なラインナップなのでした。
行かれる方は、お財布に諭吉さんをたくさん入れておくことをオススメします。
会期は、4月15日~5月5日まで。
「アニメージュとジブリ展」一冊の雑誌からジブリは始まった
会期 :2021年4月15日(木)~5月5日(水・祝)
会場 :松屋銀座 8Fイベントスクエア