高畑勲監督の自宅から、作品に関するメモなどが大量に見つかったことがわかりました。
高畑監督が20代のころに書き留めたもので、「竹取物語」に関するアイデアなどがあり、調査に当たった専門家は「苦闘と試行錯誤の歴史を見ることができる貴重な発見だ」と指摘しています。
7月2日から東京国立近代美術館で「高畑勲展」が開催されることに際し、作品の整理が行なわれたところ、作品に関するメモなどが自宅から大量に見つかりました。
メモには、「ぼくらのかぐや姫」と書かれており、高畑監督が東映動画で「竹取物語」に関する企画を提案するために書き留めたアイデアが残されています。
「絵巻物をよく研究して、その描法を生かすこと」「歌をふんだんに使って物語の筋をよどみなく流動させる」「各キヤラクタアは、簡略化してよいが抽象化のうちにも十分人間の姿を感じさせねばならない」といった文言が記され、高畑監督が新たな表現技法を模索していた様子がうかがえます。
1968年(昭和43年)に公開され、高畑監督が初となる長編アニメーション監督作品『太陽の王子ホルスの大冒険』に関しても新たな資料が見つかっており、スタッフに劇中の人間関係を理解してもらうために書かれた、登場人物の関係性と心理状況を示した図なども見つかりました。
調査した東京国立近代美術館の鈴木勝雄主任研究員は「今回見つかった資料からは、日本のアニメーションを作り変えた人の苦闘と試行錯誤の歴史を見ることができる。最初期から、表現方法や作画スタイルを実験し続けたことがよくわかる貴重な発見だ」と指摘しています。
今回見つかったメモは、東京国立近代美術館で7月2日から開催される「高畑勲展」で展示される予定です。
高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~ 『かぐや姫の物語』の制作現場に約2年半にわたって取材。 その制作過程と高畑演出の現場を明らかにしたドキュメンタリー。 |