『耳をすませば』のエンドロールには、ストーリーが含まれています。
土手の上を歩いているあのシーン、実は天沢聖司が雫にプロポーズした日の朝から夕方までの一日を描いているのです。
近藤喜文監督は、告白をした杉村と夕子のその後を描きたくて、エンディングに描くことにしたのだそうです。
まず登場するのは、聖司と雫。プロポーズ後の二人が自転車で通ります。
丘から帰ってきたようです。
時間は流れ、登校時間になったようです。学生たちが歩いてきました。
一人ひとり歩き方が違うので、注目して見ると面白いです。
猫のムーンもやってきました。どこに行くんでしょうね。
さらに時は流れ、下校時間になりました。学生たちが帰ってきました。
夕暮れどきになったとき、夕子がやってきました。
ここで、杉村が来るのを待っています。
そして杉村がやってきました。何か話をして、一緒に帰っていきます。
近藤喜文監督は、二人のその後を本編内で描くということも考えたそうですが、雫と聖司の関係を描くにつれて、物語を書く雫に重点を置いてしまい、夕子と杉村の話を入れる余地がなくなってしまったそうです。
しかし、なんとかして二人のことを描きたい近藤監督は、原画の大塚伸治さんに相談し、エンドロールで描くことを決めました。
近藤監督は、「二人は上手くやっている」ということを、観ている人にどうしても伝えたかったそうです。
杉村くん、良かったね!
ジブリの教科書9 耳をすませば 『耳をすませば』の魅力を芥川賞作家・朝吹真理子さん、藤本由香里さんらが読み解く。 |