5月29日発売の『トトロの生まれたところ』を買ってきました。さっそく一読して、気分がほがらかになっております。
内容の方はと言いますと、宮崎朱美さんが所沢で描いたスケッチ日記が大部分を占めておりまして、次に駿監督のインタビューも、『トトロ』のイメージボードと共に10ページに亘り掲載されています。
本書の企画の発端は、朱美さんのスケッチを世に出すためなのかな、と思ったりもします。
以前、宮崎吾朗さんは、母・朱美さんの描く絵をこのように語っていました。
宮崎吾朗:
とっても良い絵なんですよね。植物の絵って見ると、その人が植物のことを好きかどうかって、わかるんですよね。植物だけを描いてるんですけど、凄く優しい絵を描く人ですよね。
きっと、吾朗さんにしろ、駿さんにしろ、はたまた別の人かもしれませんけども、朱美さんの絵を世に出したい、という想いがあったんじゃないかと思います。
もう、まさに夫婦の共著といった感じの内容です。さらに、構成のところには、宮崎敬介さんの名前もあるじゃないですか。敬介さんは、駿監督の次男で、小口木版画家として活躍しています。
本書発売の際に、プロモーションとして岩波書店のロゴマークが、SNS上で「種まくトトロ」のイラストになっているんですが、これは駿監督が描いた下絵を、敬介さんが小口木版画で彫ったものが使われています。
本書は、まさに宮崎家の家内工業の結晶といったところでしょうか。
『となりのトトロ』公開30周年という節目に相応しい本だと思います。
惜しむらくは、吾朗さんの名前が載っていないことですね(笑)。
宮崎朱美が語るスケッチの作法
スタジオジブリの公式LINEには、宮崎朱美さんのインタビューが掲載されています。
普段、どのようにスケッチしているか語られています。
絵を描くときはいつも「どこから描くか」ということを大切にしています。花を先に描くこともありますが、葉の方が魅力的で先に描くこともあります。
描きはじめたときには全体のバランスが決まっています。途中で消したり描き直したりすることもほとんどありません。
植物にはどの草や花にもそれぞれの特徴があるので、それが描いてあれば絵としても納得のいくものになると思っています。
森を歩いていて「この草を描こう!」と決めたら、まずはよ~く観察します。すると「きれいに描いてね」という声が聞こえてくるよう。その草花がいちばんきれいに見えるアングルを探します。
切り花のように、自分の描きやすい向きに置き直して描くことはできませんから、生えているままの姿を真横から覗きこむようにして描いたり、下から見上げて描いたりと、むずかしい姿勢になって体が痛くなることもしばしばです。
トトロの生まれたところ 発売日:2018年5月29日(火) 価格:1296円(税込) |