2018年4月5日に、高畑勲監督が肺がんのため亡くなりました。
ファンからしたら、突然のことで驚いた人も多いでしょう。年齢から考えれば、いつ連れて行かれてもおかしくなかったんですけど、宮崎監督や鈴木さんはよく「一番長生きするのは高畑監督だ」と話していたので、こんなに早く居なくなるとは思いませんでした。
熱心なファンこそ、この話が刷り込まれていて、驚いた人が多いと思います。
しかし、思い返してみると、高畑監督は9年前の2009年11月にタバコをやめています。
そのときに、高畑さん宮崎さん鈴木さんの三人で病院で検査を受けていて、高畑さんだけ禁煙を勧められたと鈴木さんが「ジブリ汗まみれ」で話しています。おそらく、このときに良くないものが見つかっていたのでしょう。
今になってわかるんですけど、高畑監督が一番長生きするという話は、励ましの意味が込められていたのだと思います。
ドキュメンタリー作品の「高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~」を改めて見たら、やはりあの当時から高畑監督の体調が良くなかったことがわかります。
高畑さんが、二馬力で宮崎さん鈴木さんのふたりと話しているシーンがありますけど、そのときのやりとりでうかがうことができます。
宮崎監督は、「パクさんもオレも、これ作り終わって死んじゃっても早いって言われる歳じゃなよね」と言ってましたけど、ほんとうに命をかけて作っていたことを感じさせて、沁みるものがありました。
このドキュメンタリーのラストは、『かぐや姫の物語』を完成させて、初号試写を終えたところで終ります。
高畑監督は安堵の表情を見せ、最後に「タバコ吸いたくなってきた」と微笑みました。今になってこのシーンを見ると、“高畑勲物語”のエンディングとしか思えません。
人間は、モノづくりをするために生きているんだ、っていうようなクリエイターとしての生き様を見せられました。
今だからこそ、このドキュメンタリーをオススメします。
高畑勲、『かぐや姫の物語』をつくる。~ジブリ第7スタジオ、933日の伝説~ 『かぐや姫の物語』の制作現場に約2年半にわたって取材。 その制作過程と高畑演出の現場を明らかにしたドキュメンタリー。 |