ストップモーションアニメ『ぼくの名前はズッキーニ』のトークイベントが新宿ピカデリーで行われ、『この世界の片隅に』の片渕須直監督とアニメ特撮研究家の氷川竜介さんが登壇しました。
クロード・バラス監督が作った本作は、片渕監督は「大事にしたい作品。応援したいと思って出てきました」とコメント。
本作の演出においては、高畑勲監督の影響が表れていることを語りました。
2017年11月にバラスが来日した際、「実直に人間を描くためにどういう手順を踏んでいるか学生たちに見せたかった」ため自身が担当する大学の講義に招いた片渕。そこで高畑勲が演出したテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の話になったことに触れ、片渕が「バラスさんはその作品から人間の表現の仕方を読み取っているように思いました。高畑監督の演出を真剣に観て撮っている」と述べると、氷川は「片渕監督にとって兄弟みたいなものじゃないですか。高畑監督が始められた“生活を丁寧に描く”という流れにお二人ともいる」と返す。その言葉に同意した片渕は「事件で語るのではなく、小さな生活の隅々をきちんと見渡して、その中に登場人物を置き、彼らの心情を語り、人間とはこういうものだと表現していく。自分たちがやりたいと思っていたことと同じフィールドを目指している人」と述懐。また片渕は、本作の登場人物であるカミーユと高畑が演出したテレビアニメ「母をたずねて三千里」のヒロイン・フィオリーナとの相似点についても触れた。