細田守『バケモノの子』第28回東京国際映画祭のJapan Now部門で、細田守監督の『バケモノの子』が上映され、細田監督が新宿ピカデリーでのティーチインに出席しました。
本作は、細田監督の長編劇場映画として4作目にあたり、人間とバケモノが存在するパラレルワールドを舞台に、少年とバケモノの交流を描いています。



二つの世界のあつれきの中で、どう生きるかを問う

細田守監督が、本作を作るきっかけとなったのは「子どもが生まれたこと」であり、「自分の心の師匠を見つけて、たくましく生きていってほしいという思いを込めた」と語りました。

さらに「家族の物語や親と子の物語は僕らが子どものころはあたり前だった。でもだんだんそうじゃなくなってきた。だからこそ家族というものを、もう一度問い直さなくてはと思った」と語り、「今の子どもたちは“昔はこうだった的な考え”と“今、自分が身を置いている環境はこうだ”という2つの世界の軋轢を感じていると思う。そんななかで子どもたちがどう生きていくべきか問いたかった」と作品に込めたメッセージを明かしました。

渋谷は“もう一つの街”をはらんでいる

ストーリーの舞台として渋谷を選んだことについて監督は「いろんな街の中で、渋谷が一番“もう一つの街”をはらんでいる気がするんです。道が人工的じゃないし、80年代の開発の際には地中海的でおしゃれな雰囲気もあったし」と述べ、「ストーリーで描かれる重点的な街は、地中海っぽく白地に黄色とか青になっているんですが、それはPARCOのせいなんですよ」と裏話を明かしています。

バケモノのコンセプトに対しては「人間が思っているバケモノというものは、本当はどういうものなのか? という意図がある。単に外見が『バケモノ的』っていう人は案外バケモノ的ではないのではないか? というところが、この映画からは読み取れるのではと思います」とコメントしていた。

アイデアに行き詰ったら、すぐに寝る

質疑応答では、作品に関する質問だけでなく、ファンならではのユニークな質問もあり「アイデアに行き詰まったらどうしますか」と問われると、細田監督は「すぐ寝ます」と即答。「起きてから2時間しか経ってなくても寝るんです」「寝つけないなら、昼間でもお酒を飲みます」と暴露。さらに、「監督を特集したテレビ番組を見ました」というファンから「製作時はごはんもほとんど食べないと紹介されていましたが、そんななか何をモチベーションにしているのですか?」と聞かれると、「テレビが回ってないところでは、コンビニで買ったおいしいご飯を食べていました」と笑いながら答えました。