となりのトトロ 七国山病院かつては不治の病といわれ、年間死亡者が10万人を超え「国民病」と恐れられた結核。日本全国にサナトリウムと呼ばれる療養所が作られ、多くの患者が治療を受けました。『風立ちぬ』でもヒロイン・里見菜穂子がサナトリウムで療養していたので、ジブリファンのなかでもご存知の方も多いかと思います。



『となりのトトロ』でも、サツキとメイの母親は結核を患っていました。入院していた七国山病院は、東村山市に実在する八国山の近くにある「保生園」がモデルとされています。制作当時、まだ古い木造病棟が残っていたころに宮崎駿監督が訪れ、取材をしたといわれています。

モデルとされる病院は諸説あるので、実際に取材をしたのかどうか、真偽はわかりません。しかし、結核に対して宮崎監督の関心が強いことと、『トトロ』の舞台である八国山という地理的な関係から、参考にした可能性が高いとされています。

となりのトトロ

現在、その保生園は、新山手病院と名称をかえて存続しており、このほど「退院者の会」が最後の総会が開かれました。

新山手病院の会議室には、約20人が集まり、病院の前身、結核療養所「保生園」退院者でつくる「保生会」の75回目の総会となります。出席者の大半が70代後半から80代。50年代後半から60年代初めごろにかけての若い時分に、入院や治療をした人たちが集まりました。
入院患者の会は、ほかの療養所にもあったが、退院者の会ができたのは保生園だけだそうです。

「みなさんは、結核との闘いで生き残ったエリートです」と保生会の会長。「忌み嫌われた結核のことを誰にも話せず、疎外感のあった私たちにとって会は孤独を癒やしてくれる場だった」退院者の方は、元気なうちに幕を閉じることで、自然消滅を避けたかったといいます。