最新作『思い出のマーニー』の制作が佳境を迎えています。制作現場に、宮崎駿監督の姿は当然ありません。現在のスタジオの中心人物は、米林宏昌監督。「宮崎さんがここにいるという緊張感とは違う空気」と西村義明プロデューサーは語ります。
米林監督は1996年にジブリに入社して以来、宮崎監督の『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』などの原画を担当した、ジブリで一番上手いと言われたアニメーター。その力量を買われて、2010年に『借りぐらしのアリエッティ』で監督デビューを果たし、今作は2作目となります。



『アリエッティ』のときは、初監督ということもあり、周りのスタッフが監督のことを心配し、皆で支えていくというスタイルで作られていったといいます。
しかし、「今回の米林監督は、どっしりと構え、判断が早く、安心感がある」と西村プロデューサー。

西村プロデューサーが、今回米林監督と組むことになった経緯は、高畑勲監督の言葉が切欠。
『借りぐらしのアリエッティ』を観終わった高畑監督は、「この作品を命をかけて、よくしようとする若いプロデューサーがいない」と漏らしたといいます。

プロデューサーを引き受けた西村さんは、早速、米林監督と共に『思い出のマーニー』の絵コンテ作りをスタートさせる。「『かぐや姫』の仕事が終わって、深夜、麻呂さんが待っているマンションに行って。ほぼ毎日でした」と、振り返ります。

鈴木敏夫プロデューサーは、今回、ゼネラルマネージャーという立場となり、作品の現場には係わることなく、後方支援に徹しています。
スタジオジブリの新時代は、米林宏昌監督と西村義明プロデューサーに掛かっています。