高畑勲「東京アニメアワードフェスティバル2016」で、グランプリに輝いた『Long Way North』の上映会が、都内で行なわれ、同イベントに高畑勲さんが出席しました。
「何かについて書けだとか、語れだとか。年寄りになるとこういうこと増えるのかな」と照れながら登壇し、感想などを語りました。



高畑さんは『火垂るの墓』について、「公開前は子どもに観せていいんだろうかと、不安になったことがあった」と言い、「あのトトロと同時上映だったんです。どちらを先に観るかという問題。『火垂るの墓』を先に観た人はかわいそうでしたね」と語って笑いを誘いました。

この日上映された『Long Way North』は、まだ帆船が活躍していた時代、少女サーシャが、祖父の歴史を辿り、サンクトペテルブルグから極北への航海に挑む冒険談。同作は、映画祭でグランプリを受賞するなど、高い評価を受けていましたが、日本国内では配給がつきませんでした。

高畑さんは「アニメは嘘をつくけれど、この作品は嘘のつき方が気持ち良い。この上ない困難に立ち向かい、状況が好転して目的を達成するシンプルなストーリー。この単純さが大事なんじゃないかな」と作品を評価しつつ、「配給がつかなかったということは、採算が取れない、日本ではウケないと判断された。それはどういうことなのか。その答えを持っているわけではないけれど……。配給会社の人が見に来ていたら説得しようかと思ったけど、いないみたいだね」と、クオリティーの高い海外のアニメーション作品がなかなか日本で上映されない現実をぼやきました。