ステラと未来『思い出のマーニー』で美術監督を務めた種田陽平さんが描いた、児童向けの書籍『ステラと未来』が発売されました。
『ステラと未来』は、タワーの349階に暮らし「ママ」と呼ばれる養育ロボットに育てられている少女と、氷でできた薄暗い世界でたくさんの「おとうさん」に育てられている少年の物語。



実写映画美術の技術でジブリ作品の世界を三次元に建ち上げた「借りぐらしのアリエッティ×種田陽平展」、また映画『思い出のマーニー』とその展覧会「思い出のマーニー×種田陽平展」などの美術監督の仕事を通して、児童向けの作品を作る楽しさを知り、経験値を高めてきたと語ります。
そんな種田さんが、この本のために40点にのぼるイラストを描き下ろしました。

ステラと未来

種田さんは、同書について「読むものも見るものも演出過剰、刺激たっぷりでわかりやすい作品が世の中の主流。その傾向は今後いっそう強まるだろう。このたび、児童向けにつくった書籍『ステラと未来』からはそんな過剰さをそぎ落としてみた。結果、とても『静かな本』になったと思う」と話します。

これまでの仕事を通して、子どものために作品をつくる経験値を高めてきたといい、「特に『思い出のマーニー』で美術監督を務めた経験が大きかったかもしれない。実写映画美術の仕事と違い完成形が全て二次元の絵だったし、主人公の少女のスケッチ画を担当したから。そういった経験から今回、この本のために40点におよぶ絵の描き下ろしをすることもできたのです」とジブリの影響があったことを明かしました。

種田陽平 コメント
読むものも観るものも、刺激たっぷりの作品が世の中の主流ですが、『ステラと未来』は、表面的な過剰さをそぎ落としたとても静かな本です。
少女の一言から、少年の佇まいから、読む人が感覚や想像力を起動させ、主人公たちの世界に入り込んで楽しむ余地がたっぷりある作品にしたかった。
幼いころ、これはどういうことだろう、どういう意味だろう、とクエスチョン・マークが頭に浮かぶ本が好きでした。
今、そういった本を挙げるとしたら、ミヒャエル・エンデの『はてしない物語』、サン・テグジュペリの『星の王子様』、一連の宮沢賢治の作品になるでしょうか。
答えを自分でゆっくり探していくことができる本ですね。手元においてときどき読み返す。
そんな一冊にこの『ステラと未来』もなってくれたら嬉しいです。

ステラと未来
種田陽平/原案・絵
野山伸/文
2015年9月11日刊行
価格:1620円(税込)

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