『もののけ姫』のブルーレイが発売されることを記念して、スペースFS汐留ホールにて鈴木敏夫プロデューサーと、西村義明プロデューサーによる対談イベントが開催されました。
そのなかで、『かぐや姫の物語』を鑑賞した宮崎駿監督が、「この映画で泣くのは素人だよ」という感想を漏らしたことが明かされています。



現実を描く高畑勲監督と、理想を描く宮崎駿監督

宮崎監督と高畑監督の描くヒロイン像の違いについて聞かれると、西村プロデューサーは「高畑さんは、お客さんが『こうあってほしい』というものではなく、『実際はこうだ』というものを描く。人間は希望が叶えられることばかりじゃない。現実性をヒロインに経験させて、現実と映画を結ぼうとする映画を作っている」と分析。鈴木プロデューサーは「宮さん(宮崎監督)は、男は強いもので女性を守らなければいけないものと思っている。高畑さんのヒロインは、守られるべき存在じゃないよね。女性である前に、すくっと一人の人間として立っている。色々な考え方があるよね」とうなずいた。

宮崎監督も『かぐや姫の物語』を見たそうで、鈴木プロデューサーは「見終わった後、宮さんが難しい顔をして『この映画で泣くのは素人だよ』って言うんだよ。長い付き合いだけど、これは意味がわかんなかった」と苦笑い。さらには「宮さんは今、もくもくとチャンバラかなんかの漫画原稿を描いているけど、これまでにも増して緻密なもの」と近況を報告。どうやら、高畑監督の渾身作が宮崎監督を刺激した部分もあるのかもしれない。