風立ちぬ 鳥型飛行機

『風立ちぬ』の冒頭、まだ子どもの堀越二郎は夢の中で鳥型飛行機に乗っています。
あの印象的な飛行機って、実はこれまでに宮崎駿監督が描いたものの中に、その原型があるのです。
それは、『天空の城ラピュタ』のときに考えられていました。



『天空の城ラピュタ』で描かれた鳥型飛行機

天空の城ラピュタ 鳥型飛行機
映画本編には登場していないものの、オーニソプターのデザイン案や、イメージボードには鳥型飛行機が描かれています。おそらく、これはレオナルド・ダ・ヴィンチの「羽ばたき鳥型飛行機」を基にデザインされています。

天空の城ラピュタ 鳥型飛行機
映画公開後に商用のイラストとして描かれたものは、『風立ちぬ』に登場した鳥型飛行機とかなり近いデザインとなっています。既に、このときには現在のものと変わらない鳥型飛行機が誕生していました。

『妹へ』で描かれた飛行シーン

宮崎駿「妹へ」
そして、二郎が町の上空を飛ぶあのシーン。
時代設定こそ違うものの、町の上空を少年が飛ぶということ。
そして、あの描き方は、宮崎駿監督が描いた絵物語『妹へ』の飛行シーンが源泉にあると思われます。

宮崎駿「妹へ」
映像化を果たすというほど大きなことではないのかもしれませんけど、きっと宮崎監督の中に『妹へ』の飛行シーンが残っていたんじゃないでしょうか。それを描くチャンスがここで、パズルのピースみたいにハマったのかなと想像します。

宮崎駿・大塚康生の世界
ちなみに『妹へ』は、歩くことのできない妹に、兄が飛行機を作っていろいろなところに連れていくという物語。『宮崎駿・大塚康生の世界』という本に収録されています。

『NEMO/ニモ』のパイロットフィルム


こちらは鳥型飛行機ではなく、夢で空を飛ぶということ。そして、橋をくぐる飛行機や、落下して夢から覚めるところなど、一連の飛行シーンには近藤喜文監督が作った『NEMO/ニモ』のパイロット・フィルムのオマージュが感じられます。宮崎監督は、自身でも剽窃の名人と評価していますけども、これはアイデアを拝借したというよりも、近藤喜文監督に捧げたのだと思います。

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