昨年、長編アニメーション映画の舞台から「引退」を宣言した宮崎監督に対して、自身の作品の記者発表で宮崎監督の引退について「宮さんが引退撤回しても驚かないでください」とコメントした高畑監督。長年、アニメ界を牽引し、東映動画時代の先輩・後輩でもあるこのふたり。 
両監督に、彼らを支え続けた鈴木敏夫プロデューサーを加えた鼎談が、高畑勲著『映画を作りながら考えたこと 「ホルス」から「ゴーシュ」まで』に収録されています。



「魔女の宅急便でキキが飛べなくなった理由」や両監督の現在について語られた後、鈴木Pは最後に「お互いの作品で一番好きなものは?」と質問します。高畑監督は理由も語らず「となりのトトロ」と即答。

一方、宮崎監督は「アルプスの少女ハイジ」を挙げ、その思い入れをこう語ります。

宮崎監督:(前略)もっとちゃんと評価されてしかるべきなのに誰も評価していないから、頭に来ているんですよ。

高畑監督:僕のことはどうでもいいんだけど、『ハイジ』は「天の時、地の利、人の和」、この三つがすべて揃った。

かつてともに制作した「ハイジ」について、昨日のことのように振り返る両監督。同著には「ハイジ」のほか、「赤毛のアン」、「母をたずねて三千里」など、高畑アニメの当時のインタビューや制作過程の論考も多数掲載されています。これらを読み進めていくうちに、鼎談では語られていない「高畑監督がトトロを好む理由」がおのずと浮かび上がってくるかもしれません。

映画を作りながら考えたこと 「ホルス」から「ゴーシュ」まで
『かぐや姫の物語』が話題の高畑勲監督。長年、宮崎駿とコンビを組んできた彼が赤毛のアンやハイジについても綴った貴重な論考集。宮崎駿監督・鈴木敏夫プロデューサーと、スタジオジブリ30年目、初めての鼎談も実現。

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