鈴木敏夫スタジオジブリ最新作『レッドタートル ある島の物語』が現在、公開中です。
本作は、決して派手とは言えないアート作品なので、興行的に目立ってはいません。しかし、その出来栄えには、手ごたえを感じたという鈴木敏夫プロデューサー。



本作で、アーティスティック・プロデューサーを務めた高畑勲監督や、宮崎駿監督も絶賛しており、第69回カンヌ国際映画祭では「ある視点」部門特別賞を受賞するなど、今後のスタジオジブリを照らす光のようにも見えます。

しかし、鈴木さんは、今回はマイケル監督だったので特別なこと、と話します。この先において、外国人監督との作品作りについては、「出会いがあれば」というスタンスのようです。

鈴木さんは兼ねてから「ジブリは計画的に何かをやるという習慣がない」と言います。現在は、「宮崎駿もめちゃくちゃ元気で、引退して約3年経ちますが、いまだに顔を合わせればいろんな話をするし、雑談の中で『こんなことをやると面白いよ』と新しいアイデアがどんどん生まれている。手描きなのか、CGなのか、という手法をはじめ、クリアしなくてはいけない問題も多々ありますが、大切なのは出会いとタイミング」と自然体であることを主張します。

スタジオジブリで、改めて若手を起用することはあり得るのでしょうか。今後、スタジオの存続を考えると、次世代の存在が必要不可欠となります。
鈴木さんは、こう話します。「あくまでも個人的な感想になりますが、若い人との年齢的なギャップ、これを埋めるのはなかなか難しい。話が通じるのは、庵野の世代まで。どちらかといえば、年寄りと組む方が僕は楽でいいんだけどね」と。「僕も年をとってジブリプロデューサーの看板を下ろそうかと思って」と発言しているくらいなので、鈴木さん自身が若手と組むことはなさそうです。

一方、女性監督の起用についてはどう考えているのでしょう。これまでのジブリ作品の監督は、すべて男性が務めています。女性監督が作るジブリ作品も、これまでと視点が変わって面白そうです。
「僕自身は男性も女性も関係ない。これも出会いなので、いい人がいればぜひ。最近、『鏡は嘘をつかない』というインドネシアの実写映画を観たんですが、ものすごく良かった。カミラ・アンディニという女性監督で、先般、インドネシアを訪ねたときに『素晴らしい映画でした』と直接本人に伝えに行ったほど」とニュートラルな様子です。が、結局のところ、「ジブリの未来」については、「出会いとタイミング」が揃わないことには、新たな道が作られることはないようです。

ジブリの仲間たち
「宣伝の本質は仲間を増やすこと」という思想の下、監督と激論を交わし、企業を巻き込み、駆けずりまわり、汗まみれになって体得してきた経験則とは。鈴木敏夫が語る、30年間の格闘の記録。

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