『世界名作劇場』が、来年の1月に放送40周年を迎えるにあたり、新作オープニング映像付きでCS放送局・キッズステーションにて放送されます。新作オープニングを手掛けるのは、日本アニメーションの佐藤好春さん。初期のスタジオジブリ作品に関わった方です。佐藤さんのインタビューの中で、スタジオジブリにまつわる話の部分だけ、抜粋させていただきます。



スタジオジブリでの経験

――その後、佐藤さんは一時期、スタジオジブリ作品に関わっていらっしゃいますよね

佐藤氏「それまで、宮崎駿さんにお会いしたことはなかったんですけど、『未来少年コナン』という作品を観ていて、こんな面白い作品を作った人だし、ハイジにも関わっていた方なので、勝手に宮崎さんとはこういう人だっていう妄想をしていました(笑)。自分なりに、一緒に良いモノが作っていけるという期待感が大きかったです」

――実際にご一緒していかがでしたか?

佐藤氏「すごく大変でした(笑)。高畑(勲)さんが『赤毛のアン』をやっていたので、ある程度はわかっているつもりだったんですけど、その当時はまだ右も左のわからない新人だったわけですよ。最初、『となりのトトロ』で作画監督をやったんですけど、とにかく重みが全然違う。時間のかけ方も、モノを作っていく過程も、ストーリーボードや絵コンテをこんなに苦しみながら作っている。それを目の当たりにしたとき、自分にとってはすごく重かったです。生半可じゃできない。もちろんそれまでの世界名作劇場も生半可でやってきたわけじゃないですけど、やはりテレビなのでスケジュールに追われすぎていたんだと思います」

――テレビだとどうしてもスケジュールの都合が出てくる

佐藤氏「そうそう。でもジブリでは、作品を仕上げるために、すべてを犠牲にしなければダメなんだということを学びました。本当に演出家というのは怖い仕事で、生半可な気持ちでやってはいけない仕事だと思いました。だから、監督や演出には手を出しちゃいけないなって(笑)。これまでに、制作で入ってきて、将来演出をやりたいという人にもたくさん会ってきましたけど、そんな簡単な気持ちじゃできないよって言いたいですね。情報量が多くなっているので、やってみたらできる人もいるかもしれない。でも、それだけでやっていけるほど甘い世界じゃないですよ。やはりピラミッドの一番上ですから、それなりのアタマを持っている人じゃないとやっちゃいけないと思っています」

――ちなみに佐藤さんにはそういったお話はないのですか?

佐藤氏「ボクは最初からできませんっていってます(笑)。僕からすると、本当にみんなよくやるなって思うんですよ。逆に、もう少し勉強してほしいと思う演出家に出会うことも多くて、そういうときはちょっとジレンマがあったりもします。経験値から言えば、シリーズの中の1本くらいは僕も演出できるんじゃないかと思うこともあるので、そのレベルにも追いついていない人が演出だったりすると、もう少し何とかしてほしいと思うこともありますね」

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