本日の『風の谷のナウシカ』放送に合わせまして、『ナウシカ』情報をまとめてみました。
ナウシカの名前の由来や、宮崎監督が『ナウシカ』を作る上で影響を受けた作品、高畑監督が下した『ナウシカ』の評価などなど。既に周知のものが多いかもしれません。



映画化するために、原作漫画の売り上げをでっちあげている

『風の谷のナウシカ』を映画化する際に、博報堂から原作漫画の売り上げを聞かれた鈴木敏夫は、5万部しか売れていなかったけれど、「50万部」と嘘をついて映画化の企画を通している。
後に、映画がヒットすることによって、実際に漫画原作も50万部を超える売り上げとなった。

 

ナウシカの名前は、ギリシァ神話に登場する「ナウシカア」が由来


ナウシカという名前は、『ギリシア神話小事典』に掲載されたナウシカアからとったことが、宮崎監督と高畑監督の対談で明かされています。
宮崎監督は、主人公に成り得る良い名前を探しているときに、『ギリシア神話小事典』の中に「ナウシカ」の名前を見つけ、人物像についても影響を受けていると語っています。

 

ラン、ランララランランラン

風の谷のナウシカ
「ラン、ランララランランラン」の曲は「王蟲(オーム)との交流」という曲名。作曲したのは久石譲さんで、歌っているのは娘の久石麻衣さん。当時4歳。

 

巨神兵を描いたのは、『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督

『風の谷のナウシカ』ロマンアルバムのなかで、庵野監督が担当したシーンについて語っています。

庵野:
巨神兵のシーンをだれもやりたがらないっていうんでやってみないかという話になりまして、やらせていただけるんならなんでもやりますって感じで(笑)。宮崎さんは話術がうまいからいかにもおもしろそうに話すんですよ。まずレイアウト用紙にイメージイラストをかいて見せられて『巨神兵がドロドロと溶けながらゆっくり動きつつ、あちこちから煙のような蒸気を出して2回ほど光線を吐く!バクハツもある!!』って、話だけ聞くと非常におもしろそうなんですね。で、やってみてから初めて『こ、こんなに大変なカットだったのか!』ってね(笑)

――全部で何カットほど担当されたのですか?

庵野:
総カット数35カットだと思います。ラストの巨神兵のシーンと、風の谷の城で成長する巨神兵にクワトロが話しかけるシーンです。

――巨神兵のデザインはきまっていたのですか?

庵野:
いいえ。簡単なものはありましたが、最終的にはぼくがデザインしたという感じです。でも人物がダメで全部宮崎さんに「お願いします」って描いていただきました(笑)きつかったけど、また宮崎さんといっしょに仕事をさせていただきたいです。あまりお役にたてなかったから……でも宮崎さんから『もういいわい!』といわれるかも(笑)。

 

メビウスの『アルザック』に影響を受けて作られた『風の谷のナウシカ』

フランスの漫画家、メビウスさんの『アルザック』に宮崎駿監督が影響を受けて、『ナウシカ』を作成したことが、メビウスさんとの対談のなかで語られています。こちらの対談は、『ハウルの動く城』のDVDに収録されています。

宮崎:
アルザックは確か1975年でしたか。私が出会ったのは1980年頃ですが、たいへんな衝撃をうけました。日本のマンガ界全体がそうでした。残念なことに、私の絵はその頃には固まっていたので、彼の絵をうまく自分の中に生かせなかったのですが。でも今でもメビウスさんの空間感覚にはほんとに魅力を感じています。明らかにナウシカは、メビウスの影響によって作られたものです。

 

『ナウシカ』のエンディングは高畑勲の助言から生まれた

当初、宮崎監督は、ナウシカが突進してくる王蟲の前に降り立った時点で、映画を終わらせる予定でした。
しかし、そのままでは盛り上がりに欠けることから、鈴木さんと高畑さんの助言によりエンディングが変更されました。
「ジブリ汗まみれ」のなかで、鈴木さんが変更されたエンディングついて語っています。

鈴木:
「絵コンテが完成した」と。それで、それぞれ読むわけですよね。
そしたら、高畑さんが、ぼくのとこに来て、「ちょっと相談しませんか」と。
なにかなと思ったら、要するに、このままでいいのかっていうね。
あの映画の最後、王蟲が突進してくる、そしたらナウシカが降り立つ。そしたら、王蟲が吹っ飛ばして、死んじゃったと思われたナウシカが、その後で再生するって話なんですけども。

要するに、王蟲が突進してきて、降り立った途端、王蟲の暴走が止まるっていう、それが最初の案だったんですよ。
それで、高畑さんっていうのは、そういうとき非常にクールな方なんで、「どうします?」って。
ぼくも「ちょっと、呆気ないですよね」って。

それで、何が問題になったかっていったら、「娯楽映画ですよね」って高畑さんが言い出して、娯楽映画だったらやり方っていうのは、ほんとうはいっぱいある。それで、彼が3案言い出して。
で、1案が今のままですよね、宮さんの描いたまま。2案が、死んで伝説になる。3案目が、死んでよみがえる。
その3つじゃないか、って言われて。
「鈴木さん、どう思う?」って言うから、「まあ、1本の映画として考えるなら、最後ですかね」って言ったら高畑さんが、「じゃあ、ふたりで言いに行こう」って。
それで、宮さんのとこに言いに行ったんですよ。そしたら、そういうときの宮さんってね、いつもそうなんですけれど、考えないんですよ。

そのとき、僕が喋ったことをよく覚えているんですけど、聞いた瞬間「分かりました」って言うんです。
それで、何の抵抗もないんですよ、そのときは。

彼は、いつもそういときは即決ですね。それで、ああだこうだ言いません。
ただ、あのラストシーンに関しては、その後、やっぱり自分でも悔いが残るって。
そこから、約30年経って、いまだに彼とね、あのラストシーンをめぐる話ってしたことないんですよね。

 

ナウシカの胸が大きい理由

『風の谷のナウシカ』ロマンアルバムのなかで、宮崎監督がナウシカの胸が大きい理由を話しています。

――ナウシカという少女は、実に魅力的ですよね。

宮崎:
ナウシカの胸は大きいでしょう。

――はい(笑)。

宮崎:
あれは自分の子どもに乳を飲ませるだけじゃなくてね、好きな男を抱くためじゃなくてね。
あそこにいる城オジやお婆さんたちが死んでいくときにね、抱きとめてあげるためのね、そういう胸なんじゃないかと思ってるんです。 だから、でかくなくちゃいけないんですよ。

――ああ………なるほど…(衝撃!)。

宮崎:
その、やっぱりね、胸に抱きしめてあげたときにね、なんか、安心して死ねる、そういう胸じゃなきゃいけないと思ってるんですよ。

 

実際に飛行するメーヴェ

『風の谷のナウシカ』に登場する、メーヴェの実機を作った方がいます。
グライダーにエンジンを搭載して飛んでいます。

 

改悪された海外版『風の谷のナウシカ』

『風の谷のナウシカ』は、『Warriors of the Wind(風の戦士たち)』というタイトルで、欧米公開された黒歴史があります。

内容のほうは、オリジナルでは難解という理由から、116分だったものを95分に短縮され、腐海の浄化作用などの設定が削除。さらには、登場人物の名前まで変更されてしまい、「ナウシカ」は「ザンドラ姫」となっています。その後、改悪された内容のまま、ヨーロッパに二次輸出されることとなりました。

 

プロデューサー高畑勲が『風の谷のナウシカ』に下した採点は30点

『風の谷のナウシカ』ロマンアルバムのインタビューで、本作のプロデューサーを務めた高畑勲さんは、30点という辛口の評価を下しています。

この30点という評価は、宮崎監督の実力からすれば、もっとやれたはずという評価だったわけですが、この評価に宮崎監督は怒り心頭。ロマンアルバムを真っ二つに引きちぎりました。

『風の谷のナウシカ』に高畑勲が下した採点は30点

 

キツネリスとよく似たフェネックキツネ

キツネリスのモデルとなったかどうかは分かりませんが、フェネックキツネという、とてもテトに似た動物が実際にいます。
イヌ科で、北アフリカのモロッコなどに生息しているのだとか。

 

『ナウシカ2』を作りたがる庵野秀明

『エヴァンゲリオン』の庵野秀明監督が、漫画版『風の谷のナウシカ』の7巻を原作に『ナウシカ2』を作りたがっています。

 

宮崎駿監督が『ナウシカ2』の作成にOK

『王様のブランチ』で行なわれた宮崎駿監督のインタビューで、『風の谷のナウシカ』の続編作成について許諾姿勢をみせています。

本仮屋:
(風の谷のナウシカ)続編とかパート2を作ろうという気持ちはなかったんですか?

宮崎駿:
それはもう、止めたほうがいいと思ってます。僕はやっぱりやる気はない。
ただ、「庵野がやりたい! やりたい!」って言うから、やるならやっても良いって、この頃思うようになって言ってますけど。

本仮屋:
じゃあ、もしかしたら庵野さんが監督で『ナウシカ2』をやるかもしれない?

宮崎駿:
この前、庵野に『風の谷のナウシカ』を云々と話があったときに、読んでみようと思って、引っ張りだして読んだら、よくこんなわけの分からないものを描いてると思って。
どれだけ作るの大変だか分かるから、「止めたほうがいいよ」「なにバカなのこと言ってんだ」ってそういう風に言ってたんだけど。