メアリと魔女の花 トークイベント

米林宏昌監督の最新作『メアリと魔女の花』公開記念トークイベントが22日、六本木ヒルズアリーナで行なわれました。
杉咲花さんや神木隆之介さんなど主要キャストのほか、米林宏昌監督、西村義明プロデューサーが登壇。今作について、宮崎駿監督、高畑勲監督、鈴木敏夫さんが、どのような感想を抱いたか語られました。



このトークイベントは、LINELIVEにて配信され、現在はアーカイブが公開されています。
LINE LIVE – 『メアリと魔女の花』杉咲花&神木隆之介 スペシャルトーク

ゼロからプロダクションを立ち上げ、こんなところでお披露目できると思わなかった

――さっそく、皆さんにお話を伺ってまいりたいと思います。それでは、私の方から皆さんをご紹介させていただきます。まずは、米林宏昌監督です。

米林:
『メアリと魔女の花』の監督をしました、米林宏昌です。ほんとうに沢山の方にお集まりいただきまして、ありがとうございます。ほんとうに、場違いでドキドキしていますが、今日はよろしくお願いします。

――米林監督とこの作品を作りあげました、スタジオポノック・西村義明プロデューサーです。

西村:
西村と申します。米林監督と3年前にスタートした企画です。ゼロからプロダクションを立ち上げて、まさかこんなところでお披露目するとは思いませんでしたが、一所懸命作りました。完成して嬉しいです。今日は、よろしくお願いします。

――主人公・メアリ役、杉咲花さんです。

杉咲:
こんにちは、杉咲花です。今日は、来てくださって、ほんとうにありがとうございます。まだ完成したものを観られていないと思うんですけど、早く皆さんと一緒に、この映画を楽しみたいです。今日は、短い時間ですがよろしくお願いします。

――メアリがついた小さな嘘で、大冒険に巻き込まれるピーター役を演じていただきました、神木隆之介さんです。

神木:
ピーター役をやらせていただきました、神木隆之介です。今日は来てくださって、ありがとうございます。監督とは、『借りぐらしのアリエッティ』以来で、また監督の作品に携わることができて、ほんとうに幸せだなと思っております。今日は、ほんとうによろしくお願いします。

――続きましては、魔法世界の最高学府、エンドア大学の魔法科学者ドクター・デイ役を演じました、小日向文世さんです。

小日向:
今日は沢山集まっていただき、ありがとうございます。ドクター・デイをやらせていただいた、小日向文世です。アニメーションの声は、初めてやらせていただきまして、ほんとうに光栄な気持ちでいっぱいです。ずっとやりたかったんですけども、やっと声をかけていただいて、ほんとうに嬉しい気持ちでいっぱいです。よろしくお願いします。

――続きましては、ホウキ小屋の番人、フラナガン役を演じました佐藤二朗さんです。

佐藤:
こんにちは。ぼくは、5歳の子供がいるんですけども、子供の教育上あまり良くない感じの役が多いんですけど、今回はほんとうに胸を張って、子供と一緒に劇場に観に行きたいと思います。よろしくお願いします。

――禁断の魔女の花をメアリに教える、赤い館の庭師・ゼベディ役、遠藤憲一さんです。

遠藤:
遠藤憲一です。声をあてる仕事は、今回が3本目になります。いちばん最初は、オオカミの役をやりました。二番目は、木をやりました。初めて今回、人間をやりました。ありがたかったです。以上です(笑)。

――そして、メアリのことを優しく包み込みます、シャーロット大叔母様、大竹しのぶさんです。

大竹:
こんにちは、大竹しのぶです。3年もの長い間、監督とプロデューサーと、そして多くのスタッフの人が、一所懸命作ってきた映画が、やっと誕生しました。ほんとうに、そのご苦労を考えると、胸がいっぱいです。ほんとうにワクワクする映画なので、ぜひぜひ劇場で観ていただきたいなと思います。今日はよろしくお願いします。

30年掛けて築いたジブリのクオリティを、ゼロから再構築しなければいけなかった

――スタジオポノックの第一回の作品、まさにゼロからのスタートになったと思いますけど、この作品を作るうえで一番大変だったこと、あるいは一番意識したこと、何かありますか?

米林:
そうですね、2014年の12月をもちまして、スタジオジブリを退社しまして。それでも、もう一本、映画を作りたいなっていう気持ちは、『思い出のマーニー』を作ったあとに湧いてきまして、西村プロデューサーに「次は、マーニーとは真逆の、動くファンタジー作品を作りたい」ということをお話して、今日まで一所懸命やってきました。いちばん苦労した点は、まずゼロからですので、何にもないところから西村プロデューサーと、喫茶店を巡りながら脚本を練っていったというところからスタートしたので、ほんとうにこういう場に立てるということ自体が、夢のようです。

――西村さんは如何ですか?

西村:
全部大変だったんですよね。米林監督も、プロデューサーの立場でやっている僕も、スタジオポノックで一枚一枚絵を描き続けたクリエイターたちも、ジブリの作品が大好きでジブリに入って、そしてジブリのクオリティを、自分たちが一番よく知っているんですよね。
30年間かけて、ジブリのクオリティがここまで来た、っていやつを僕らはゼロから再構築しなければいけないっていうことから始まってですね。お客さんに喜んでもらえる価値あるアニメーションが出来るかっていうところを、一日一日もがきながら、苦しみながら作っていったのが、一番大変でしたね。クオリティを上げて、良い作品を作るっていうことに妥協がないのがジブリでしたから。僕らが、それを忘れちゃいけないと思って、頑張りました。

――いよいよ完成ということになりましたけど、お気持ちは如何ですか?

西村:
よく完成したなって、ほんとうに……。僕、一回『かぐや姫の物語』って作品やってるときに、公開延期って騒ぎを起こしてしまいましてですね。スケジュールが大幅に遅れたときに、クリエイターの中から、「そろそろ、得意技を出してもらえませんか」っていうふうに、「公開延期は考えられないんですか?」って言われたぐらいでしたけど。ほんとうに、皆に頑張ってもらって、完成したことは嬉しいですね。

――それではキャストの皆さんにもお話を伺いたいと思いますけど、皆さん映画はご覧になっているということで、率直なご感想を聞きたいと思います。まずは、杉咲さん。

杉咲:
そうですね、普段自分が携わらせていただいた作品を、初めて観るときは、どうしても自分のこととかが気になってしまって、客観的に観ることができないですけど、今回はそれよりも作品の力が凄くて、103分の映画があっという間に感じるぐらい、ずっと引き込まれて観てしまうぐらい、ほんとうに楽しませいただきました。

――神木さんは如何ですか?

神木:
ほんとうに、楽しく観ることができました。もちろん、録ってるとき以外でも、自分が出てないシーンもどうなってるかがわかっていなかったので、ほんとうに一人の観客として観ることができて、純粋に楽しめましたね。すごく勇気を貰えたというか、背中を後押ししてもらえる作品だなと、そのときに実感しました。

――小日向さんは如何ですか? 初めて声優をされてということですけど。

小日向:
始まって、とにかく絵が美しくて、ほんとうに素晴らしかったんですよ。それに魅了されちゃって、ドクター・デイが出来て、僕の声が流れた瞬間だけは、「やった!」って思いましたけど、もうあっという間にそれも忘れて、ほんとうに作品にのめり込んでいったというか、自分がそれに関わっていることを忘れちゃったという感じで、ほんとうに素晴らしい作品だと思いました。

――佐藤さんは如何ですか?

佐藤:
僕も当然、本とかも読んでいるわけで。でも、全然その絵の美しさとか、発想の豊かさとか、すごい引き込まれたし。あと、僕は、唯一人間じゃない役をやってるんですけども。僕はフラナガンって役をやったんですけど、絶対ネズミだと思って収録に行ったら、スタッフさんから「アライグマだ」とかですね、「タヌキだ」とか、すき放題言われてね。でも、作った監督がいるんで、監督に聞いてみようと思って、監督に「このフラナガンとはなんですか?」と聞いたら、米林監督は「さあ、なんでしょう」って言いましてですね、結局全然わからないままやったんですけど(笑)。でも、観ている人が、いろいろと想像ができる、それがわりと作品全体もそうで、観ている人の想像が膨らませる作品だと思います。

――監督に改めて伺いたいと思いますが、あれは何だったんですか?

米林:
あぁ、さぁ、なんなんでしょうかね。僕もよくわからないんですけども、あの、可愛らしい……。

佐藤:
監督、はっきり喋ってください! さっきから言おうと思ってたけど(笑)。

米林:
すいません!

佐藤:
まあ、わからないということで(笑)。

――観て、それぞれに思っていただければと思います。遠藤さんは如何ですか?

遠藤:
まず、自分の役なんですけども、庭師の役なんですけど。怖くもなく、けっしてすごく優しいわけでもなく、普通の庭師なんですね。で、オレ、俳優としてもこういう役やったことないんで、すごい普通の人間って難しいなっていうのを実感しました。
それで、花ちゃんとは、今回で二度目なんですけど、前に共演したとき、花ちゃんを倉庫に閉じ込めて、拳銃で脅して散々泣かせる役をやったんで、今回普通の役で接触できて、良かったなと思っています。

佐藤:
「接触」言うな(笑)。

――杉咲さんは、そのあたりどうでしたか?

杉咲:
遠藤さん、怖くなくて嬉しかったです。あのときは、ほんとうに恐ろしかったので。

――そうですよね、そういう役柄ですもんね。主人公・メアリを優しく包み込むという点では、大竹しのぶさんだったんですが、ご覧になって感想如何でした?

大竹:
そうですね、『アリエッティ』のときも思ったんですけど、「もしかしたら、こういう世界がほんとうにあるのかもしれない」って思わせてくれるような世界に連れて行ってくださって。今回も、同じように、「もしかしたら、魔法ってできるのかな」って思うし。皆さんがおっしゃってるのと同じように、絵の美しさに引き込まれて、最初は(自分の演技を)もうちょっとこうしたら良いんじゃないかとか、正直思うところもあったんですけども、自然に引き込まれて、とにかくメアリに、「がんばれ、がんばれ」って応援している自分がいましたね。あと、この絵を作るのに、どれだけの発想と、どれだけの人が携わっているのだろうかって、それにも胸を打たれました。

――この豪華キャストの方々に声を入れていただいて、命が吹き込まれるということになったんですけど、監督如何でした?

米林:
それまで、一年半ぐらいかけてずっと、毎日3時まで机に向かって絵を描いていたものが、声が吹き込まれたらどうなるのか、アフレコのときには、いつもドキドキするですけど。皆さん、予想を超えるふうに絵を膨らませてくれたことに、ほんとうに嬉しく思っています。

――例えば、どんなところが凄かったと思われますか?

米林:
例えば、杉咲さん。メアリなんかも、わりと嘘をついちゃうし、調子に乗って失敗しちゃうし、演じてくださる方によっては、嫌われちゃうキャラクターになるんじゃないかと思っていたんですけど、杉咲さんの声を借りまして、すごく魅力的な、応援したくなるキャラクターになったんじゃないかと思っています。

――杉咲さんはそのあたり、どういう意識がありましたか?

杉咲:
監督がおっしゃったように、メアリは心が動くと、すぐそっちのほうに行ってしまうというキャラクターなんですけど。誰かのためになると思ってやると、いつも上手くいかなくて、失敗しちゃうんですよ。そんな姿が、とても愛おしくて、憎めなくて、応援したくなる。でも、私がどうやったら、メアリの魅力を表現できるかなって、すごく迷ったんですけど、やっぱりメアリと同じように、自分が一所懸命になることが、一番大事なのかなと思ってアフレコをさせていただきました。

――豪華キャスト陣について、西村さんは如何ですか?

西村:
ほんとうに皆さんの演技がすごくてですね。実際、アニメーションを作っている工程で、全部の工程を監督とかプロデューサーは見てくるんですけど、最後に声があてられて、効果音とか音楽が入ったときに、全然違うものに見えてくるんですよね。それが、膨らませていくって作業なんでしょうけど。プロの仕事を見たなっていうふうに、ほんとうにありがたかったです。すごいことです。

もしも、魔法が使えたら

――主人公・メアリは一夜限りの魔法を手にしますが、もし皆さんが魔法を手にしたら、どんなことをしてみたいか。

米林:
大喜利みたいになってる。

――いやいや、ハードル上げなくて良いですから(笑)。まずは、杉咲さんから、如何ですか?

杉咲:
時間を早送りできる魔法を使ってみたいです。あの、ぬか漬けが好きなんですけど、なかなか漬からないじゃないですか。だから、早送りして、すぐ漬かるっていう魔法です。

――浅漬けじゃなくて、ぬか漬けのしっかり漬いたほうが良いんですか?

杉咲:
そうですね。

――時間が早く回っちゃうと、もったいなく感じませんか?

杉咲:
でも、ぬか漬けいっぱい食べたいので(笑)。

――神木さんは如何ですか?

神木:
片付けがちょっと苦手なので、ヒュッとやったら、ものが整理整頓されていく魔法を使ってみたいです。

――べつに、ぬか漬けと片付けで、被せたわけじゃないんですよね?

神木:
ではないです。そこは大丈夫です。

――小日向さんは如何ですか?

小日向:
やっぱり、この作品を観ると、空飛びたくなるんですよね。ほんとうに、空を飛ぶ瞬間の絵が素晴らしかったんで、メアリのように飛んでみたいと。で、仕事の現場に、ギリギリのときに魔法を使って、「おはようございまーす」って空中から現場に行きたいなって。驚かせてみたいなっていうのは、ありますね。

――佐藤さんは如何ですか?

佐藤:
僕は、ほんとうに切実なんですけど、最近寝ると、4時間・5時間くらいで起きちゃうんですよ。なので、8時間くらい起きない魔法を使ってみたいです。

――それは、一日の過ごし方を変えたら、かなり変わるっていう話でもないですか?

佐藤:
なんか、おしっこで起きちゃうんですよね。そこを食い止めたいです。それは切実なんで、それで魔法ができるんだったら、小日向さんがおっしゃったことと対照的ですけど、夢が無くて申し訳ないですけど。

――遠藤さんは如何ですか?

遠藤:
あの、米林監督は、宮崎監督とか高畑監督っていう巨匠の人たちと接触して、こういうまた新たな巨匠が出現したと思うんですね。だけど、また将来、また凄い……将棋の藤井四段でしたっけ、彼みたいな子がまた出現すると思うで、一瞬で良いんで、いまそのとき、その子はどこにいるのかをパンって。ここの中にいるのかもしれないし、これからの試写会にいるのかもしれないし、どこか日本の果てのポコンっていうとこにいるかもしれないし、今のポノックの中にいるかもしれないし、その人は誰だっていうのを、瞬間的にパンッと見せてほしい。

――将来、希望の星になる人の今を知りたい。

遠藤:
アニメ界のね。

――大竹しのぶさんは如何ですか?

大竹:
いろんな魔法を使いたくなりました。片づけるのも、空飛べるのも良いなと思うけど、実際に小さいとき、朝礼の時間が退屈で、髪の毛をいじってたら、パッと金髪が現れて、私フランス人だったんだわ、って思う想像の世界に生きていて。フランス語はめちゃくちゃ喋れて、そしたらそこでカッコイイ人が迎えに来て、すごいセレブな結婚をするっていう、そういうことをやってみたいです。

――もの凄い膨らみますね(笑)。西村さんは如何ですか?

西村:
僕は職業柄、すごい頑張る人間なんで。魔法じゃなくて、分身の術が使いたいですね。働いてもらって、ラスベガスに行きたいです。遊びたいです。

――監督は如何ですか?

米林:
そうですね、この間ずっと、会社に缶詰で仕事をしていて、すっかり運動不足で太ってしまったので、痩せたいっていうのがありますけど。

佐藤:
それ、ジョギングすれば良いじゃないですか(笑)。魔法ですか?

米林:
魔法で、なんとか……。

――この作品を作った監督のわりには、ものすごく現実的な魔法の使い方ですね。

米林:
自分で頑張ります。

マスコミ質疑応答

――米林監督と西村プロデューサーに質問なのですが、作品が完成して、宮崎監督・高畑監督・鈴木さんのお三方が、何か仰っていることがあったら教えてください。

西村:
映画が出来上がったときに、ゼロ号試写っていうのがあるんですけど、その翌日に米林監督と僕は、完成した映画を持ってジブリに行きまして、観てもらいました。高畑勲監督と、鈴木敏夫プロデューサーですね。宮崎さんは、観てくれなかったんですよね?

米林:
そう、「俺は観ない」というふうに、観てくれなかったんですけど。

西村:
でも、ねぎらいの言葉は貰ったんでしたっけ?

米林:
そう、その日に宮崎監督のところに行きまして、「よく頑張った」というふうに、ねぎらっていただきました。この『メアリ』という作品が、遅れに遅れていたもんですから、ほんとうに出来るのかどうなのか、心配してくださっていたので、無事完成の報告をすることができて、嬉しく思っています。

西村:
高畑さんと鈴木さんには観てもらって、感想をいただいて。鈴木さんのが面白かったんですけど、開口一番「よく頑張って」って言って、「ジブリの呪縛から解き放たれると、おまえらもこういう映画を作るのか」って。「素直にのびのびと、良い作品を作ったね」っていうふうに鈴木さんは言ってくれて。高畑さんは、そもそもファンタジー映画が嫌いなんで、一番緊張する人なんですけど、ほんとうにすごく褒めてくれて、「好感の持てる映画です」って、「ただ、私が好感を持つということは、この映画の成功は危ういんじゃないか」と言ってましたけど(笑)。まあ、ほんとうに、ねぎらってくれました。

――西村さんに伺いたいのですが、先日の初号試写の最初に、「ジブリを超える」という趣旨のことをおっしゃっていたと思うのですけど、ジブリを退社されて、この会社を作って、ここはジブリにないものができたと、胸を張れることがあったら教えください。

西村:
あの、「ジブリを超える」っていうことは、思っていないですね。自分たちがジブリを愛してきて、ジブリで学んだこともそうだし、活かしていきたいって思いもあったし。ジブリの良いところは、面白いだけじゃなくて、価値のあるもの、今作る意味のあるものを作ろう、っていうことで映画を作る集団でした。
そのために、一枚一枚絵を描き続けて、一枚一枚塗って、一枚一枚の背景を描く、っていう愚直さが、一種のジブリの志だったので、それは絶対忘れちゃいけないって思いは、現場では共有していました。
その中で、僕はプロデューサーっていう立場なので、敢えてお話しますが、米林宏昌監督が、今回3作品目。監督として、映画人として、3作目というのは勝負の作品になると思うのですが、米林監督からジブリの蓋みたいなものが外れて、やりたいことを全部詰め込んだんじゃないかなって。最初、作品を作りますって発表したときに、米林宏昌監督は「ジブリ人生の約20年すべてを費やす」というふうに明言してスタートしたわけです。その結果は、作品に出ているし、米林宏昌の新しさが、この作品の中に出ているんじゃないかと思いますね。

一歩踏み出す勇気を持ってもらえたら嬉しい

――それでは、最後になりますが、杉咲さん、監督から絞めの挨拶をいただきたいと思います。

杉咲:
私は、完成した映画を観て、メアリが前向きに、一所懸命がんばっている姿を見て、自分はこれくらいちゃんと、毎日ズルしないで、真っ直ぐがんばれているかなって、あらためて自分と向き合う、ひとつの機会をもらえたなと思って。そして、メアリの姿を見て、がんばることを諦めたくないなと、思わせてもらいました。観てくださった方々に、少しでも胸に響くものがあったら、とても嬉しいです。7月8日から公開になりますので、是非大きなスクリーンのある映画館で観てください。ほんとうに、どの世代の方々にでも、楽しんでいただける作品になっていると思います。是非見てください。今日は、ありがとうございました。

――最後になりますが、監督お願いします。

米林:
2年半かけて、一所懸命作ってきました。この映画の中で、主人公のメアリは、途中で、肝心なところで、魔法の力を失ってしまう。そのときに、どういうふうな気持ちで立ち上がって、前へ進んでいくか、この映画を観て、自分も一歩踏み出す勇気を持てた、といふうに観てもらえたら嬉しく思います。今日は、ほんとうにありがとうございました。