ルパン三世 カリオストロの城「ルパン三世」といえば、コミカルで女性に優しく陽気なキャラクターというイメージの方も多いですよね。
ところが、原作のルパンは、暗黒街で生きる殺し屋で、女も撃ち殺してしまうような非情さを持ち、その反面、情が深く、複雑でシニカルな陰のあるキャラクターとして描かれています。



現在のルパン像を作ったのは、宮崎駿監督の『ルパン三世 カリオストロの城』が切欠といっても過言ではないほど、多大な影響を与えました。このことから、原作ファンの間では『カリオストロ』の評価はあまり高くありません。当時は、ずいぶんバッシングもあったそうです。

この、ルパン像を作るにあたり、宮崎監督がどのようにルパンを解釈したか、『ルパン三世 カリオストロの城 アニメコレクション』という本で語っています。本書は、1981年発行のもので、劇場公開されて1年半後のインタビューです。

本書では、宮崎監督が演出を手掛けた、テレビシリーズのルパン三世「死の翼アルバトロス/さらば愛しきルパン」についての話や、作中に登場するメカの話など、ボリュームのあるインタビューが掲載されています。
 

ルパンは生き恥をさらして生きる男

宮崎:
自分なりのルパン像を作らなければならない羽目になった時、六十年代末から七十年代頭に一番生き生きしていた男が、今、生き恥をさらして生きているという風に構えるしか手がなかったんです。

(略)

ルパンっていう男はベンツSSKは乗りまわしていたけれども、もうそれにも飽きたなっていう男じゃないかなと思うんですね。要するに車なんていうのは動きゃいいんだってんで、一番目立たない車で走り回って。だからお金を持って喜んでるんじゃない。いいライターをかっこよさそうにサッと出すんじゃなくてライターは火がつけば百円のでいいよっていう男。
そういう男になったルパンを創ろうって思った時に、やっと自分なりにルパンって男がわかったような気がしたんですよ。そういう意味では、あの映画の中では一番それが貫かれていると今でも思います。

(略)

解釈によっては、ルパンって男は、やたらにカジノに出入りする遊び人になりがちなんです。
何かこう国会議員がラスベガス行ったりするみたいで田舎っぺ風なんですよね。で、そういうことはどうでもよくなった男、そういうことにはもうこだわっていなくて金持ちになりたいとも思わなくなった男なんだって考えたんですね。

国籍を考えた時、ルパンっていうのは僕なんか、どう考えてもイタリア人って風にしか思えないですよねぇ。フランス人のようなエスプリに満ちた洒落た男じゃなく、むしろイタリア人の無骨さ。
貧乏人のイタリア人だよね。ナポリあたりの、能力はあるけど泥棒しかやることが無かったから泥棒になってしまったっていうような。
そうなると車なんてFIATがぴったりなんですよね。

あれはフランス人とイタリア人と日本人の軽薄な部分とイタリア人の騒がしい部分がくっついたっていうようなキャラクターだと勝手に思ってる。だからルパン・ファンっていう人達から見るとちょっとチグハグな部分があったっていわれますけど、それは彼等が非常にシリアスで冷やかな眼を持った悪党としてのルパンを期待していたからなんです。僕等はそれとは全然違う人格、或る意味で善良で弱点を持った男としてルパンを描きましたからイメージの食い違いがあったんですね。

(略)

独立した映画として見せる時に、ルパン・ファンの為のルパンを作るのか、それともルパンなんてアルセーヌ・ルパンしか知らないよっていいながら映画館に入ってくる人にもわかるルパンを作るのか、どっちにするかっていう選択があるわけです。

ある程度は知ってて、モンキー・パンチの原作も読んでるっていう人達だけを相手に物語を作ったとすると、結果的に楽屋落ちみたいな状態になってしまうかもしれない。
ここはやはり、よその国の、或は山の中のおじいさんが突然見ても、それなりに楽しめるものにしなければいけないんじゃないかってハッキリ思ったんです。だからファン向けの映画って考え方は一切やめて、ルパンっていうのは泥棒ですよっていうところから始めて物語を進めていった訳です。

ルパン三世カリオストロの城 アニメコレクション
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