エキレビにて、『コクリコ坂から』の特集が掲載されています。
『文藝別冊 総特集 神山健治』に掲載されていた、神山健治監督と宮崎吾朗監督の対談を踏まえての記事です。
宮崎駿と押井守という、強烈な個性の下で仕事をしているふたりの苦労話です。



ジブリは今、宮崎駿の作品がメインの旗となり、「宮崎駿のスタジオ」というイメージが強いです。他の監督ももちろんいるのですが、それでも宮崎駿自身、自分のスタジオという意識が強い。

宮崎:
米林君(米林宏昌『借りぐらしのアリエッティ』監督)も次なにやるんだって脅迫されて。かわいそうに(笑)。

神山:
米林さんは年下ですか?

宮崎:
年下ですね。だから同じような目に遭っていますね。監督がOK出した美術でも、後ろから白いひげの人が来て「直せ」って。

神山:
駿監督は自分の作品を作ってないときもスタジオにいらっしゃるんですか?

宮崎:
うろうろしています。

神山:
スタジオが大好きなんですね、きっと。

宮崎:
現場の古参の指揮官ですね。若い小隊長に「何してんだ」って言う。

白いひげの人、って言う表現あたりに息子吾朗の気持ちが見え隠れします。
逆を返せば、それだけスタジオジブリに愛着のある宮崎駿監督。確かに『崖の上のポニョ』みたいな天才というか奇作というかとんでもない作品作られちゃったら、それを超えるなんて到底難しい話。ましてスタジオジブリにいる作家は宮崎駿や高畑勲にあこがれてきている部分もあります。
ここから新しい監督が次々出てくれば!という思いは宮崎吾朗にもあったようですが現実のところそうでもない。

(略)

自分たちの上の世代の仕事スタイルを見てきた二人は、宮崎駿・押井守・鈴木プロデューサーが三人とも「自分の思っておることしか喋っていない」から勝ち続けている、と語ります。
ようは最初から「相対していない」。押井守に至っては「そもそも反省会などない」だそうです。すげえ。
当然のように、下の世代の神山健治と宮崎吾朗は、何も言えない習慣がついてしまった、と語ります。

神山:
基本的に最初から大きなことは言わないでおこうみたいなことが習慣づいてるかもしれないですね、僕らの世代は。

宮崎:
そう言えるものがない世代ですね。

神山:
「発見した!」と思っても、「うん。知ってた」と上の世代に言われてしまうので、最初から何も言わんでおこうってなりますね。

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