早速、宮崎駿監督の3万文字インタビュー掲載の「Cut」9月号を買ってきました。
毎回のごとく「Cut」のインタビューは、濃い内容で読み応えがあります。
インタビューの内容は、新作『風立ちぬ』に関するものが大半を占めており、この作品が宮崎駿監督の長年(というか人生?)の集積から生まれた作品であることが語られています。

毎回、新作発表のあとに、これが最後と言い続けている宮崎監督ですが、今回ばかりは身体の衰えもあり、これまでとは違うとのことです。
ですけど、今回の作品を経て、最後にファンタジー作品を作って締めるのではないか、というニオイも感じさせます。

ファンとしては、できるだけ多くの宮崎作品を観たい気持ちはありますけども、『風立ちぬ』で終わらせるのも美しいな、と思ったりもします。

それから、今回の「Cut」では、高橋源一郎さんによる『風立ちぬ』の考察も掲載されていて、こちらも読み応えがある内容になっています。

二年前のインタビューに引き続き、今回も、宮崎監督が通勤の際に、バスの数をかぞえるという話がありました。
こういった、平凡の中に垣間見る非凡なところが、やはり天才的に感じます。

以下は、宮崎監督が語った、ほんの一部。かなり大まかに書いてます。掲載内容は、とってもディープですよ。
宮さん、口の悪いところはありますが、そこは愛嬌です。いつまでも、尖がっていて素敵。

 

『風立ちぬ』について

・時代が動き始めて、これまで映画作りは通用しなくなった。
・一度ルーティーンから抜け出して別の場所に進まないとダメ。
・敗戦でコンプレックスの塊だった連中が「零戦はすごかった」と話し始めた。
・零戦神話は、ほとんどが嘘のかたまり。
・「零戦で誇りを持とう」とか、頭にきていた。
・堀越二郎を取材したドキュメントもあるはずだが、一切読まずに映画を作った。
・僕は、僕の堀越二郎を取り戻した。
・『風立ちぬ』と、もうひとつファンタジーの企画があった。今作るのは大変なので、ほっといた。
・初夜のシーンは、劣情をもよおすためのシーンではない。スタッフがよく理解して描いてくれた。
・ベッドシーンが売物の作品は嫌い。
・これ以上、作品を作りたくなったら、それは老害。
・零戦を描くのは、ほんとうに難しい。風防も尾翼もバランスが違う。難しすぎて頭がおかしくなった。
・堀辰雄は失意の人。しかし、陰々滅々の人ではない。明るい健やかな青年。
・色指定の保田さんはリタイアした人。やっぱり若い人に昭和はわからない。
・基本的に自分はファンタジーを作ってきた人間。リアル路線を続けようとは思わない。



世の中について

・大学の講義で、戦争経済がどれほど国民経済を破壊するか熱烈に述べられ感動した。
・僕は『ポニョ』の世界が好き。だが、世の中と歯車があっていない。
・震災の絵コンテを切ったあとに、本当の地震が起きた。とうとう、時代に追いつかれ、追い抜かれた。
・現状を映画でやるなら『ナウシカ』と『もののけ』。もうとっくの昔にやってるので、やることはない。
・「こういう娘いるよね?」と話しても、スタッフが誰も頷かない。
・庵野の悲劇は、自分がコピーであることを自覚していること。もう悲劇の巨神兵になっている。
・設定を決めるのに会議ばかりやるのはろくでもない。会議でものごとは決まらない。
・地震は来るし、原発は爆発する。それじゃなかったら『ナウシカ』なんか描いてない。
・放射能漏れは止まらない。だが原発推進派は、なんとか言って再開したがる。
・永代のとんでもない負債となる。まさに腐海が生まれつつある。
・日本の少子化には助かったと思っている。今増えていたらもっと絶望。
・そのうち、東京の半分は外国人になる。今後、アジアのEUを作るしかない。
・文明の本質を理解していない連中が評論を書き、商売をしている。スマホをいじってるバカも含めてもう終わり。バカ!
・自分の頭で考えないで、外部端末になにかがあると思い込んでいる。バカ!

 

Cut (カット) 2013年 09月号
出版社: ロッキング・オン
表紙巻頭特集は、現在大ヒット公開中の、宮崎駿5年ぶりの監督作品『風立ちぬ』!
『宮崎駿は、なぜ、はじめて自分の映画に泣いたのか?』をテーマに宮崎駿に徹底的に迫る3万字インタビュー

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