Gigazineニュースサイト「Gigazine」に、先日ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2015「アニメ制作を支える製作委員会」座談会の模様が公開されています。一部、抜粋させていただきます。
登壇者は、Production I.GのプロデューサーでSTEVE N’ STEVEN取締役の石井朋彦さん、WIT STUDIO代表取締役社長の和田丈嗣さん、東宝プロデューサーの川村元気さん、スタジオジブリの西村義明プロデューサーです。



議題は、「製作委員会」とはなんなのか、どのような人たちがいて、なにをしているのか。現在、第一線で活躍している現場担当者が語りました。

ジブリのプロデューサー業は特殊
企画・脚本だけでなく、制作現場にも介入すれば、クリエイターの人生相談にも乗る

西村:
僕は学生時代から映画を作りたいと思っていまして、作るのならアニメーション映画だな、スタジオジブリに入りたいなと思っていたんです。縁あって、鈴木敏夫プロデューサーに手紙を書き、読んでもらえて、面接のうえ採用が決まったという経緯です。

(略)

川村:
この業界はそんなに広くないので、なにか組み合わせが生まれる瞬間を待っているんですよね。監督がいて、プロダクションがあって、プロデューサーがいて、放送局があって、どのタイミングで組み合わさるか、センスか、志か、あるいはビジネス的なメリットを共有できるか、いろいろあると思いますが、カチッとはまる瞬間がある。みんな交流は絶えずあるので、どこで決まるというわけではなく、運みたいなところもありますね。たまたま企画をやっているときにMBSの丸山さんと飲む事になったとか。

(略)

和田:
川村さんの話を聞いていて同じだなぁと思った部分がありますね。もともと、「戦国BASARA」を一緒に作っていたポニーキャニオンさんと、アフレコ時に待ち時間があったので「最近やりたいのない?」って聞かれて「進撃の巨人、面白いです」と答えたのがきっかけなんです。制作会社なので企画書を書いてコンペで戦うことがありましたが、先ほど松本理恵監督の存在が大きかったように、進撃の場合は「監督の荒木哲郎が進撃をやりたかった」というところが大きいですね。

石井:
普段から組みたい監督ややりたい作品イメージがあって、それと企画・原作がかみ合ったときに、同じ志を持った人と作り始めるという感じですか?

和田:
そうですね。日常的にアニメーションの現場は忙しいので、たいがい待ち時間に話をしているときに決まるイメージです。

石井:
西村さんはまた別の立場かなと思いますが、いかがですか。

西村:
スタジオジブリという会社はアニメーション業界の中でもかなり特殊で、製作委員会の組成について語っても大して役に立たないと思います(笑)。徳間書店という出版社がアニメーションの制作スタジオを持つというところから特異ですが、プロデューサーはあらゆる局面で陣頭指揮を執ります。企画や脚本だけでなく、制作現場ではクリエイティブコントロールもすれば、長丁場のアニメーション制作ではクリエイターの人生相談に乗ることもある。製作委員会の舵取りもするし、完成した映画を宣伝して公開してパッケージ化、商品化、海外展開まで全部やる……という、仕事の範囲は多岐に渡り大変ですが、映画との関わり方に関してはすごく恵まれた仕組みの中で映画を作っています。

(略)

石井:
次に、製作委員会がまとまって監督も原作もまとまり、制作費も見えてきたときに、製作委員会がどういった役割で動いていくのかということについてお話をしたいと思います。和田さん、一般的な製作委員会ファミリーがどういった方々かの説明をお願いします。

(略)

西村:
テレビの製作と映画とは力点が違うと思うんです。映画の場合、製作委員の各構成要員の立場は、当たったらみんなで少し儲かろうねという投資家としての側面と、映画を当てるためにいっぱい宣伝しましょうねという宣伝マンとしての側面があります。スタジオジブリ作品は、初期の作品群よりも後期の作品群のほうが製作委員会の参加企業数が多いのですが、それはスタジオジブリの映画に投資家が集まらなかったからではなく、映画の価値の最大化を図るために新たな宣伝チャンネルを持つ新業態、コンビニエンスストアやインターネット等の協力を獲得してきた歴史だと言えます。製作委員会は、映画の場合、製作委員会そのものの持つメディアミックス的な宣伝機能が大きな要素になってくるんです。