『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

「3週連続ジブリ祭」の第2弾は、高畑勲監督の『おもひでぽろぽろ』の登場です。
本作には、1991年に発売された、アニメージュ特別編集のガイドブックがあるのでご紹介します。
現在では絶版となっており、古本屋やネットで中古しか出回っていません。



大ナマケモノの子孫

製作プロデューサーを務めた宮崎駿さんの寄稿では、高畑監督を「大ナマケモノの子孫」として、本作政策にまつわる経緯や、高畑勲監督の人となりについて語っています。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

宮崎:
私はずい分パクさんと仕事をして来ました。なにしろ大ナマケモの子孫が相手ですから、こちらは「ぼのぼの」あらいグマ君のようになってしまいます。おまけにナマケモノは鋭い爪を持っていまして、決して平和ないきものではないのです。突然凶暴な攻撃性を発揮して引き裂きますから、的になった者はたいへんです。
もっとも凶暴性については他人をとやかくいえるほど、私も立派な人格者とはいえません。ただし、傷口の深さは彼の方が上だと思っています。

今井美樹・柳葉敏郎スペシャルインタビュー
タエ子とトシオで初体験!

本作で声優を務めた、今井美樹さんと柳葉敏郎さんのインタビューを掲載。プレスコで行なわれた演技の難しさや、それぞれの役に対する思いなどを語ります。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

――アニメの仕事は初めてということですが、いかがでしたか?

今井:
最初私はナレーションだけだと思っていたんです(笑)。リハーサルの日にいきなりタエ子が27歳になったときのセリフも言わなきゃいけないと知って、「えっ!?」と目が点になっちゃいました(笑)。実際やってみて、むずかしかったですね。私、普段のお芝居のときなど手や足がバタバタ動く方なので、プレスコでは、ここで足を動かして音を出しちゃいけないと思い、“石”になってやってたんです。

――トシオは山形の農業青年ですが、方言などでご苦労なさったことは?

柳葉:
ぼくの田舎は秋田なので、東北弁という大きなくくりのなかでは不便はないんです。でも、その方言を見たり聞いたりしてくださる方々にわかるようにしゃべるのはけっこうたいへん。これは方言を知ってる人ならきっと一度は経験することなんじゃないかと思うけれど。それがなければどうにでもしゃべれる。

(略)

今回の動きは、画面のアニメの動きになるわけですから。トシオの声としての責任も大きいですよね。自分の田舎の景色を思い出したり、自分の家族を思い出したりしながらやりました。

カメラの前で語った「おもひでぽろぽろ」の魅力

作家の谷村志穂さんをインタビュアーに、本作でプロデューサーを務めた宮崎駿さんと高畑勲監督に『おもひでぽろぽろ』作成にまつわる話をききます。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

宮崎駿インタビュー
谷村:
今回はプロデューサーというお仕事ですが、それは宮崎さんにとってはどうですか。

宮崎:
僕はプロデューサーには向いていない人間なんですね。プロデューサーとして一生懸命やろうとすると、スタッフに迷惑をかける人間なんです。だから、企画を決めて、スタッフを決めるところまではやるけれど、それ以降は口を出さない。顔も出さない。ただ、僕はアニメーターあがりなので、アニメーターのスケジュールには口を出します。ちょっとゆるんでると、怒鳴ります。

高畑勲インタビュー
谷村:
これは宮崎さんにもお聞きしたんですが、この原作を読まれて、どういう印象をお持ちになりましたか?

高畑:
面白かったし、びっくりしましたね。非常に繊細な、普通ならとりあげるかな、という類のことを見事に定着してあって、マンガとしては、そんなに売れるものではないと思いましたが(笑)。こちらにとっては面白かったですね。ただ、映画にするのは見当もつかなくて、映画にする必要は全然ないんじゃないか、と思いましたね。マンガという形が一番ふさわしい、というか、文章だけでもだめだし、マンガでしか表現できないものとして出来上がっていたと思いますね。

斎藤由貴vs高畑勲・宮崎駿 公開直前座談会

ジブリ作品のファンだという女優の斎藤由貴さんをインタビュアーに、高畑・宮崎コンビにまつわる話から、本作『おもひでぽろぽろ』の話までを語ります。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

高畑 勲の音楽のはなし

『おもひでぽろぽろ』では、これまでのアニメ映画にはない特徴として、クラシックや歌謡曲、民族音楽、そして作品のための新録曲と、さまざまな音楽が使われました。その理由はなぜなのか、そしてどのように使われているのか、高畑監督が解説します。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック

スタッフそれぞれのおもひでづくり

『おもひでぽろぽろ』の主要スタッフのインタビューを掲載。仕事をしていくうちにつくられていった思い出を語ります。男鹿和雄さん、百瀬義行さん、川端俊之さん、須藤典彦さん、白井久男さん、財前裕子さん、瀬山武司さんのインタビューが収録されています。

『おもひでぽろぽろ』アニメージュ特別編集ガイドブック