東京都東村山市の国立ハンセン病療養所「多磨全生園」(青葉町四)の緑地や施設を「人権の森」として後世に残す構想について、構想を後押しする東村山市の渡部尚(たかし)市長は十九日、昨年引退を表明したアニメ監督の宮崎駿氏にあらためて支援を求め、宮崎氏は全面支援する姿勢を見せた。



「人権の森」構想は、ハンセン病患者として国の強制隔離政策などで苦痛を受けてきた全生園の入所者の自治会が二〇〇一年から進めている。自治会は全生園の歴史を伝えるため、園内の三万本の樹木や史跡、建造物の保全を目指しており、東村山市は啓発活動などで支援している。

宮崎氏も構想の提唱者の一人。この日は東村山市秋津町と埼玉県所沢市にまたがる「淵(ふち)の森緑地」で、渡部市長が宮崎氏に、全生園の四季折々の写真を使った構想の普及啓発用のポスターとピンバッジを贈った。渡部市長はポスター制作の経緯を説明し「今後も啓発に努めます」と話した。

構想について宮崎氏は「全生園の存在は私の支えだ」と思い入れが深いことを説明。「ここで(入所者が)生きたということを緑地とともに残すことに大賛成だ」と強調した。