高畑勲高畑勲監督の訃報に、海外メディアもこぞって取り上げており、踏み込んだ情報を続々と発信しています。
アメリカからはニューヨークタイムズやワシントンポストが紹介しているほか、ドイツやフランス、アラブ首長国連邦などが、高畑監督を紹介しています。



アメリカ「ニューヨーク・タイムズ」

米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、高畑監督の存在感が宮崎駿監督の陰に隠れてしまい、国際的な知名度は決して高くないと触れ、「ロサンゼルス・タイムズ」の記事を引用し、多くのスタジオジブリ作品をアメリカで配給してきたGKIDS社のデイブ・ジェステッド社長の声を取り上げ、「スタジオジブリを大好きな音楽バンドに例えれば、高畑は熱烈なファンならば誰もが知っている、知る人ぞ知る曲なのだ」と高畑監督を位置づけています。

では、宮崎監督と高畑監督の知名度の差はどこから生まれたのか。「ニューヨーク・タイムズ」は「高畑監督の“出力”と関係している」とし、「宮崎監督に比べて作品数が圧倒的に少ない。その背景には、納得いくまで仕事を続ける、たゆみのない職業倫理がある」と分析しています。

アメリカ「ワシントン・ポスト」

米紙「ワシントン・ポスト」は2人が愛憎相半ばする関係にあったと指摘しています。宮崎監督は高畑監督の極端にのんびりした性格に怒りを覚えることもあったとし、2015年の日本の英字紙「ジャパンタイムズ」の記事を引用して「ついには2人は仕事についてお互い話をしなくなった」と紹介しています。

高畑監督の声も紹介し、「私は彼(宮崎監督)のすることが嫌いではない。ただできれば彼と競い合いたくないのです。私はきっと彼が関わりたくないだろう映画を作っていると意識してますし、彼も同様のことをしていたと聞いています」と微妙な関係を明らかにしています。

ドイツ「ベルリナー・ツァイトゥング」

ドイツ・ベルリンなどで発行される日刊紙「ベルリナー・ツァイトゥング」は、スイスを舞台にしたTVアニメ『アルプスの少女ハイジ』が「特に欧州で人気のある作品」と指摘。同作の製作に参加した、宮崎監督と当時は珍しい海外ロケハンを敢行し、「スイスの山々、家、駅を正確にスケッチした」と徹底したリアリズム重視の姿勢を伝えています。

また、ドイツ通信社の記事を引用し、『火垂るの墓』を「世界の誰もが知っている誉れ高い傑作で、戦争の恐ろしさがテーマ」と紹介しました。

フランス「ルモンド」

仏紙「ルモンド」は、高畑監督の政治的信条や活動にも言及しています。

「政治への関心が高く、実際、政治活動への参加にも積極的だ」(ベルリナー・ツァイトゥング)

「憲法9条を守るための映画製作者グループ『映画人の会』の設立者の一人。2015年に日米安保条約改正案の可決を目指す安倍晋三内閣に対し、反対運動に参加した」(ルモンド)

ルモンドは「岡山県で生まれた高畑監督は、昭和20年6月に米軍機の空爆に遭遇し、パジャマのまま妹と家を飛び出し、生き抜いた」とのエピソードを伝えています。

UAE「ザ・ナショナル」

近年、若者の間で日本のアニメブームが続き、日本語熱も高いアラブ首長国連邦では、日刊紙「ザ・ナショナル」は、「見る者に淡く柔らかな印象を与えることが、描写の手法としていかに野心的な取り組みかを高畑監督は十分に意識していた。ハリウッドで全盛のCGで描くアニメとは一線を画す」と、その描線をたたえました。

同紙は2015年にAP通信が報じたインタビュー記事も引用し、「リアリティーを重視しつつも、過度なリアリティーの追求に走らない。鑑賞者の想像力に訴える。それが日本のアニメの核心でもある」とアーティスト、高畑監督の作家像を紹介しています。


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