米林宏昌監督「思い出のマーニー」にかける並々ならぬ思い

最新作『思い出のマーニー』の声優発表会見が、配給を手がける東宝本社で行われ、特報映像が報道陣に初披露されました。また、プロデューサーの西村義明氏が企画概要などを説明し、米林宏昌監督の今作にかける思いを代弁しました。



西村氏は、宮崎駿監督作「風立ちぬ」、自らプロデュースした高畑勲監督作「かぐや姫の物語」が封切られた昨年を「ジブリにとって2013年は大事な年でした。これまで会社を支えてきた2人の作品が同時に公開され、さらに宮崎の長編作からの引退が発表されました」と振り返る。そして、「これからジブリが何をしていくのか注目されていくと思う。そのひとつ目の挑戦が、長編作では初めて宮崎、高畑が一切かかわらない『思い出のマーニー』です」と話す。

企画は、「風立ちぬ」製作時に立ち上がった。鉛筆を使って作業する宮崎監督の筆圧が次第に落ちて薄くなっていくのを現場で働くスタッフは感じていたそうで、「それをアニメーターとして見ていたのがマロさん(米林監督)だった」(西村氏)。そして唐突に鈴木敏夫プロデューサーのもとを訪れ、「僕に映画を作らせてください」と直談判したという。

米林監督は、「千と千尋の神隠し」のキャラクター、カオナシのモデルだったことで知られ、「ハウルの動く城」「崖の上のポニョ」「風立ちぬ」などで原画を担当してきた。10年に「借りぐらしのアリエッティ」を監督し、興行収入92億5000万円の大ヒットを記録。しかし、「僕は『アリエッティ』でやり残したことがある。それを今回はぜひやりたいんです」と思いを吐露したことで、ジョーン・G・ロビンソンの原作を手渡された。

原作の大ファンだった宮崎監督に、「自分では生涯映画にできないと思っていた作品」と言わしめた作品の映画化。米林監督は、「僕は宮崎さんのように、この映画1本で世界を変えようなんて思ってはいません。ただ、『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』の両巨匠の後に、もう一度、子どものためのスタジオジブリ作品をつくりたい。この映画を見に来てくれる『杏奈』や『マーニー』の横に座り、そっと寄りそうような映画を、僕は作りたいと思っています」とコメントを寄せている。

西村氏によれば、「普段はひょうひょうとしているマロさんが、『宮崎・高畑がいなければジブリはこんなものしか作れないのか、ということは絶対に言わせない』と強く言っていた」ことが印象に残っているという。そのため、米林監督はこれまで培ってきたものに独自色を加味すべく、脚本・作画監督に安藤雅司、美術監督に種田陽平を招聘した。

安藤は、90年にスタジオジブリに入社し「もののけ姫」などの作画監督を務めてきたOBだ。「『千と千尋の神隠し』で宮崎と仲違いして退社したんです。宮崎作品にノーを突きつけた人を、ジブリに呼び戻しました。脚本に名前が入っているのは、中身に口を出してきたので、連帯責任として参加してもらうことにしました」(西村氏)。製作中の本編には手応えを感じている様子で、「今回は脚本と画コンテに20カ月かけています。鈴木も、『宮さんではこの繊細さは作れない』と言っていた。マロさんは、かつての3人(宮崎、高畑、鈴木)がどれほどの情熱をもって作品をつくっていたかを体現しているんだと思う。マロさんの若さあってこその題材。巨匠2人を凌駕する作品になると思う」と力強く語った。

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