高畑勲三鷹ネットワーク大学にて、高畑勲監督の講座が4回にわたり開催されます。
本講座では、具体的に第一の頂点である平安末期の絵巻物の魅力を味わうところからはじめ、日本語という言語と、マンガ・アニメ的な絵との関係や、「本質」より「現象」に強い関心を示す日本人の心性にも探りを入れていきます。



【第1回:10月9日】
日本人はアリスの同類だった
アリスは姉の読んでいる書物をのぞき込んで言う。
「絵も会話もない本なんて、何の役に立つのかしら?」

日本では平安の昔から連綿と、おびただしい数の「マンガ・アニメなるもの」が作られてきた。「マンガ・アニメ的なるもの」とは、「絵と言葉を使って、時間とともに、ありありと物語を語る芸術」のことである。
史上、三度のピークがあった。平安末期と江戸末期と戦後である。この時期に共通する特徴とは何か。

【第2回:10月16日】
手の中の映画 連続式絵巻

画集では絶対味わえない絵巻物の魅力。どのようにして絵の中に「時間」を取り込んだか、その驚くべき表現技法。
世界の他地域での試みとの違い。
一瞬の現象を生き生きと捉える。本質より現象に強い関心を抱く日本文化の特徴。東西の辞書の比較。

【第3回:10月23日】
草双紙絵で筋を読む炬燵かな(松根東洋城)

江戸時代における多様多彩な展開。浮世絵に溢れる情報。毎ページが絵と言葉で埋め尽くされた絵本類(草双紙)の大量出版。
西洋への大きな影響。それがまわりまわってジブリアニメにまで至る。
主観性の導入。正面性。 ○線の絵の意味。 
陰影・立体感。

【第4回:10月30日】
なぜ日本では「マンガ・アニメ的なるもの」が発達したのだろうか ―日本文化論―

万葉から現代まで連綿と続く「文字と言葉の戯れ」。花開いた素晴らしき“駄洒落文化”。 
漢字受容の日本的特質。大和言葉と漢字の共存。識字層の文化。
本質より現象。永遠より一瞬。特異な名付け。オノマトペ。
「永遠」には関心を示さない。災害列島の庶民的無常観。

アニメーション文化講座 特別編 高畑勲
日本伝統文化に見るマンガ・アニメ的なるもの

日程:2015年10月9日(金)~10月30日(金)
定員:50人 (先着制)
回数:4回通し受講のみ
受講料:一般 3,000円/市民 2,400円/市民学生 1,800円/会員 1,500円
受付期間:2015年8月18日 (火) 9時30分 ~
※現在、講座は満席でキャンセル待ちとなりました。