ジブリでプロデューサー見習い中の、川上量生さんの講演とインタビューがアップされています。
テクノロジービジネスの行方について業界を代表するキーパーソンに語ってもらう、「TechCrunch Tokyo 2011」というイベントのスピーチと、「4gamer」というゲーム情報サイトのイタンビューです。
どちらも、ほとんどジブリの話はしていなんですけども、川上さんの独特の視点が面白いです。



「説明のつかないもの」に勝機 – TechCrunch Tokyo 2011

 モノ作りをするときに最終的な着地点が、ユーザーにどういうサービスを提供するかではなく、エグジット(主にサービスの売却)になってきた。これはユーザーにサービスを提供するロジックではなく、資本のロジック。ビジネスをやる以上は最終的にはお金に変えなければいけないけれど、それを資本として得ようという流れが支配的だった。だから、「その逆にチャンスがあるのではないか」というのが、ネットをいろいろ調べて最初に思ったことだ。

 2つ目は、そもそもサービスを作るときもユーザーじゃなくて、コンピューターの方を見ているのがいまのネットサービス。SEOは衝撃だった。ユーザーがどう行動するかではなく、Googleのボットが見たらどう思うかという観点でサイトを作るという。そういう考えを持っているのが100人に1人だったらすごくかっこいいが、そういう人たちの方がどうも多いと知ってさらに衝撃だった。それが大きな流れを作っていると感じた。機械に支配されつつあるネットの中で、逆に機械の影響を一切考えないような視点があるのではないかというのが、ニコニコ動画の大きな着眼点だった。

TechCrunch Tokyo 2011 – ustream

 

「儲けちゃ駄目」は道徳じゃなくて科学の話 – 4gamer

川上氏:
なんというかね。僕は,理解できないものであり続けるのってとても大事だなっていつも思うんですよ。

4Gamer:
ええ。

川上氏:
そして,そのためにはね。自分自身が理解しちゃダメなんですよ(笑)。だって自分で分からないものは他人が分かりようがないでしょ。

4Gamer:
ええええ(笑)。

川上氏:
めちゃくちゃなのが良いってことでは決してないんだけどね。でも,「理論」と「感性」の違いというか,「理論」と「感性」の関係ってどういうものが良いのだろうかというのは,昔からの僕の中のテーマでもあって。

4Gamer:
何か答は見つかったんですか?

川上氏:
僕が得た結論っていうのはね。「説明ができる」ということは,すなわち「競争が起こる/激しくなる」ってことなんですよ。