花とアリス殺人事件長編アニメーション『花とアリス殺人事件』の公開を記念して、鈴木敏夫さんと岩井俊二監督の対談が行われました。
鈴木さんは「ジブリは今、開店休業っていうのかね、何を作っていいのか悩んじゃってる。今の世の中を考えると、何を作るのか難しい」と本音を明かしました。



岩井監督が手掛けた今作をひと足早く鑑賞し、「改めて思ったけど、映画は作るものじゃなくて見るものなのかな。見て何かを言うのが楽しい。でも、そう思いつつも『どうすんだお前は!』って(危機感が)降り掛かってくる。身近なところにテーマは転がってるのかもね」と刺激を受けていた。

作品は公開直前にしてまだ完成しておらず、岩井監督は「まだやっていて、事務所は騒然としている。スタッフは仕上げに奔走していて、きょう劇場で20日公開という文字を入り口のポスターで見て、冷や汗が出てるところ。ここ何ヶ月か、ほとんど寝てない。寝れないんです…。実写に比べコマ単位だから恐ろしい。実写だと簡単にやれるのに、1コマだけイスが抜けていたり、実写では起きないことが起きる。でも、やり始めからには仕上げるしかない」と冷や汗を流していた。

隣で聞いていた鈴木氏は「もう帰ったほうがいいんじゃない?」と冗談を交えつつも「好きなことやってるからしょうがないよね」と共感。「『(風の谷の)ナウシカ』(1984年3月11日公開)は4日前だった」と明かして、さらに会場を驚かせていた。

岩井監督は、「10年前ぐらいに鈴木さんにアニメの相談をした際、実写を撮影したあと、アニメーションでなぞる形はやめた方がいいって言われましたよね」と告白し、鈴木氏は「反対した覚えがある。その技法は世界中で行われていたけど、ほとんど失敗していたからね。実写を見ていてもコンテがあるのは明らかで、アニメをやりたい人なのかなと思っていた。宮さんは書いたキャラが芝居をするし、アニメの約束事からはみ出ない。でも高畑さんは違う。この映画を観て『かぐや姫の物語』や『おもひでぽろぽろ』を思い出した。高畑派かな」と分析。また、「ある程度でき上がったものを見せてもらったが、傑作と声を大にして言いたい。自分が正しいと思ったことを、枠にはまらず自由かっ達にやった効果が本当に出ている。映画のテーマと表現が一致しているのが良かったよ。完全に岩井さんの映画になっている」と絶賛し、エールを送った。

花とアリス殺人事件
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