全米90都市、約500スクリーンで拡大公開され、アカデミー賞長編アニメーション部門で大きな注目を集めていた「風立ちぬ」。宮崎監督は03年の「千と千尋の神隠し」以来、2度目のオスカーが期待されていたが、受賞はならなかった。仕事のため日本に残っていた宮崎監督は、賞の発表後に東京・小金井市のスタジオジブリで急きょ会見。約30人の取材陣の前に「すいません、無駄足を運ばせてしまって…」と悔しさを見せることなく、笑顔で登場した。



「交戦国の戦闘機を作った男の映画を、アメリカの友人たちがノミネートまで持っていってくれるだけでも、ちょっと感動した。それで十分です」と晴れ晴れとした表情。鈴木敏夫プロデューサー(65)が現地入りしていたが「一番かわいそうなのは鈴木さん。気合を入れて作務衣(さむえ)で行ったのに」と白い歯を見せた。

長編アニメ映画賞の受賞結果を受けて宮崎監督は「友人のジョン・ラセターがプロデュースした作品が受賞し、とてもうれしく思います」とコメントを寄せた。

ジョン・ラセターは、ディズニー/ピクサーのチーフ・クリエイティブオフィサー(CCO)。宮崎監督とラセターはかねてから親交があり、ラセターはしばしば宮崎監督作品への愛を明かし「ピクサーの作品がほかのアニメスタジオの作品と違うとよく言われるのは、宮崎さんの映画のように静かな瞬間を尊んでおり、なおかつハートがあるからだと思います」と語ったこともある。