なつぞら『なつぞら』第15週は最初から最後まで、短編作品の制作エピソードとなりました。
夕見子が思い浮かんだ『ヘンゼルとグレーテル』を作ることになり、この企画から宮崎駿感満載の天才アニメーター神地くんも参加することになりました。役者が揃った東洋動画ですが、マコさんは不満を抱えていて、この先はもしかしたら移籍を……と匂わせる15週なのでした。



第85話「ヘンゼルとグレーテル」

第85話で、夕見子が帰ってきて、相変わらずの夕見子節を披露します。千遥が結婚するという話に、「女は男の所有物ではない」とフェミニズム的視点で語る夕見子。先駆的ですね。さらに、なつが今度作るという短編映画には、千遥となつの境遇が似ているという理由で『ヘンゼルとグレーテル』を提案します。

それから、気になっていた泰樹おんじの咲太郎への接し方は、なつや千遥と同様で孫に対するものでした。「よくこれまで生きてきた」と労い、別れ際には「しっかりせいよ」と鼓舞するおんじ。身近にこんな爺ちゃんいたら、気合が入る。何かあったら、爺ちゃんに報告しようって思っちゃいますよね。

第86話「坂場くんと意気投合」

第86話で、なつと咲太郎は東京に戻ってきました。短編アニメーション作りが再開されます。なつは、夕見子からヒントを得た『ヘンゼルとグレーテル』を提案して、休みを取っていた間の出来事を説明します。そして、なつの人生が投影されているその案で、企画が進められることになります。
その晩、坂場くんが作品の相談をするために、なつが下宿するおでん屋「風車」にやって来ました。グリム童話の原作で、『ヘンゼルとグレーテル』は魔女をかまどに突っ込んで焼き殺すというエンディングで残酷な描写があるため、そこに疑問を抱いたのでした。なつも子供には残酷なものを見せられないと同じ意見だったため、ヘンゼルとグレーテルが魔女から逃げるというエンディングを提案します。その案が、坂場くんにもストライク。意気投合するふたりなのでした。これが馴れ初めとなるのでしょうか。

第87話「天才現る」

第87話では、東洋動画の短編作品『ヘンゼルとグレーテル』の企画会議が行なわれました。会議には、スタッフが集められているのですが、何の紹介もなくいきなり神地航也くんが座っています。新人だというのに、初っ端から遠慮なく意見を申す神地くん。そして、物語の展開を説明するのと同時にイメージボードを描いていきます。さすが若かりし宮崎駿監督、じゃなかった天才アニメーター神地くん。
このとき話していた短編の内容が『太陽の王子ホルスの大冒険』っぽかったんですけど、この短編でホルスをモデルにしたエピソードを盛り込んできているようです。

第88話「木の怪物・モーグ」

第88話では、なつの兄・咲太郎がアニメーションや洋画の声優業に着目し、声優のプロダクションを立ち上げると言い出しました。テレビが出始めた時代で、先見性がありますけど、なぜだか咲太郎が行動をとると不安になってしまいます。資金繰りは上手くいくんでしょうか。
一方、短編のほうは先の展開が思い浮かばず行き詰っていると、なつは夢を見て、十勝の森に住む彫刻家・弥一郎を思い出します。弥一郎が魂を込めて掘っていた彫刻からヒントを得て、短編には「木の怪物」を登場させることを思いつきます。その木の怪物がもうまさに、『太陽の王子ホルスの大冒険』に登場した岩男モーグのようでした。

第89話「声優の訛り」

第89話では、咲太郎が声優事業を始め、洋画のアテレコが行なわれました。蘭子やレミ子、雪次郎の「赤い星座」組に加えて、親分の下っ端のチンピラ二人も声優を務めます。そこに、元・活動弁士の豊富遊声も参加して、黎明期の声優業が描かれました。
雪次郎は北海道出身のため言葉に訛りがあり、同じ失敗を7度繰り返してしまいます。とうとう8度目には、豊富遊声に口を封じられ、豊富遊声が自ら声色を使って、二役を演じたのでした。さすが山寺宏一さん。いい仕事してますね。
言葉に訛りがあるという出来事で、『千と千尋の神隠し』で千尋役の柊瑠美さんが、「一本ね」という発音が上手く言えず、何度もやり直していたことを思い出しました。

第90話「決起集会のダンス」

第90話では、開始早々おでん屋「風車」に夕見子がやって来ます。何やら、学生運動のために東京にやってきた様子で、ドラマ上は不穏な空気は感じませんけど、穏やかではなさそうです。もしかしたら、そろそろ東洋動画でも労働組合の話が出るのでしょうか。
『ヘンゼルとグレーテル』の短編作りのほうも佳境となり、なつは岩男モーグのような木の怪物のキャラクターデザインを完成させ、坂場くんのシナリオを元に神地くんも絵コンテを完成させました。
その絵コンテを下山さんは、仲さんと井戸原さんに見てもらうと、「はちゃめちゃで『ヘンゼルとグレーテル』じゃないじゃないか。社会風刺じゃないのこれ?」と井戸原さん。「新しいものも感じます」と仲さん。果たしてやり直しを食らわず、このまま作れるのでしょうか?
この回の最後に、決起集会として「風車」に作画チームが集まって、みんなで踊っていましたけど、これは小田部羊一さんと奥山玲子さんの馴れ初めとなった社交ダンスのエピソードを参考にしたものじゃないでしょうか。

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